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ロシア皇帝の至宝展

 大阪国立国際美術館。いや、これほど大量の金製品を見たのは、スキタイ展以来です。注目すべきは、細工の異様な細かさ。ロマノフ朝に入ると、諸外国から献上されたオランダ、ドイツ、フランス等の工芸品が多いんだが、それらと比べるとロシアの芸術工芸の特異性がよくわかる。近寄って目を凝らさないと判らないような細かさなのである。地紋のアラベスクとか、びっしり並べられた直径1~数mmの金や真珠の粒とか。それでいて全体の形状自体は単純で、ものによっては不恰好でさえあったりするし、そのうえ黄金がベカベカで真珠以外の宝石は大振りなので、ぱっと見は大味で野暮ったい印象だ。地紋なんて、離れた場所から見ると汚れみたいだしな。

 一方、ヨーロッパの工芸品は、「そんなところまで誰も見ないよ」というような細部の細かさがない代わりに、全体のバランスが考えられている。その影響なのか、18世紀以降のロシア工芸は、細部の作り込みがあまり重視されなくなっていったようだ。しかし全体のバランスを整えるセンスは欠けたままなので、結果として質は低下していった、ように思う。

 12世紀半ばから20世紀初頭まで、概ね時代ごとに7つの区分で展示されていて、最初の31点は1990年代にモスクワで発掘された装飾品。モンゴル襲来の際に、土中に埋めて隠されたものらしい。銀製品が中心で、どれも錆びてしまっているので見た目は地味なんだが、技術は非常に高い。これらの発掘品を除くと、展示品は宮廷や総主教のために作られたものがほとんどで、つまり各時代のロシア工芸の最高水準なわけだけど、技術のレベルとしては、モンゴル襲来以前からあまり発達しなかったように思う。

 前回の「舞台芸術の世界」展に引き続きロシアづいているのは、『ミカイールの階梯』が25世紀初頭の天山北路にロシア人による擬似社会主義政権が確立されているという、なんじゃそらあっていう設定だからです。なぜそんなことになっているのかというと、ユーラシア西部に人が住めなくなって民族大移動が起こったからです。天山南路はイラン系民族の宗教組織が掌握しています。そういうわけで、次回は大阪歴史博物館の「ペルシャ文明展」に行く予定です。

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