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舞台芸術の世界

 京都国立近代美術館。いや、おもしろかったんだけどね。いまいち主旨がはっきりしない展示内容だったな。

「舞台芸術の世界」というメインタイトルは、あまりにも漠然としている。サブタイトルは「ディアギレフのロシアバレエと舞台デザイン」なんだが、「ディアギレフの」が掛かるのが「ロシアバレエ」までなのか「舞台デザイン」までなのかよくわからない。バレエ関係の展示物はバレエ・リュスを中心に大なり小なりディアギレフとその周辺人物が関わったものだったが、それ以外の舞台芸術(演劇とかオペラとかミュージックホールとか)は一応「ロシアの」という括りがあるだけのようで、よくわからない。そら確かに、人脈を辿っていけばいくらでも関連は見出せるんだろうけど。

 展示物は衣装のデザイン画が中心で、次いで舞台作品のポスターやパンフレット、実際に使用された衣装など。デザイン画は数が非常に多く、また素描とはいえ作品として鑑賞に値するものばかりだった。天野喜孝が19世紀末の絵画の影響を受けていることはよく指摘されているが、20世紀前半のバレエ・リュス関連のデザインからの影響も強いんじゃないかと思う(特にレオン・バクスト)。それにしても、もっと当時の雰囲気を伝える展示物を揃えてほしかった。舞台装置のデザイン画だけじゃ、よくわからん(展示数も少なかったしな)。セットの一部や小道具が一点も残ってないってことはないと思うんだが。せめて写真の展示をもっと増やすとか。1985年にパリで再現された公演「牧神の午後」「薔薇の精」「ペトルーシュカ」の上映はよかったが、音質はともかく画質はもう少しなんとかならなかったものか。

 興味深い内容なだけに、展示が半端だったのが惜しまれる。いっそのこと何か一作、当時の舞台装置をそっくり再現した展示でもしてくれればよかったのに。以前観に行った敦煌展では、石窟の一つの実物大レプリカが作られていて感動したぞ。

 常設展示も観る。あまりこれといったものはなかったな。ルドンが4、5点もあったのは多少驚いたが。もう一つの企画展「シビル・ハイネン テキスタイル・アートの彼方へ」は、展示数は少ないがおもしろかった。1961年オランダ生まれか。テキスタイルといっても金箔を貼ったゴムによる工芸品で、特に説明はなかったが蒔絵や屏風といった日本の伝統工芸の影響を受けているのだろう。伝統工芸と現代美術の融合という試みとして、成功しているように思う。

 近代美術館というか岡崎公園には、京都に住んでた頃、何度も行ったことがあったので道に迷うはずがないと思っていたんだが、地下鉄東西線の東山で降りたのは初めてだっったため、地上に出た途端、早速道を間違えました。5分で気が付いたので迷子にはならずに済んだけど(反対方向に歩いていた)。その昔、会社の上司は、私がお使いに出ると戻ってくるのが遅いのは道に迷っているからだというのを信じず、どっかでさぼっているのだろうと疑いました。ようやく信じてくれたと思ったら、今度は「道を間違えるのは不注意だからで、勤務中だというのに注意力散漫なのは怠慢だ」と決め付けました。酷い誤解もあったものです。注意深くしていても道に迷う、むしろ注意深くしていると迷ったことに気づいた時に焦ってますます迷う、それが方向音痴というものなのです。

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