« 『ミノタウロス』その二 | トップページ | 事実だけとは限りません »

ナスカ展

 京都文化博物館。平日なのに混んでたなー。やっぱミイラがあるからなのか。

 地上絵のナスカです。アンデス文明と中央アメリカ文明はほとんど交流がなかったんだけど、図像が幾何学的で抽象的でデザイン性が高いのは共通してるんだよな。前半は土器や織物。アンデスは乾燥してるから織物の保存状態がいいなあ。土器に描かれた図像は、メソアメリカのものより遥かにカラフル。織物も非常にカラフルで技術が高い。

 中盤はミイラと頭蓋骨。ミイラは子供と成人の二体でした。自然乾燥ミイラですね。アンデスは乾燥してるから死体の保存状態もいいなあ。子供のは乾燥する前にいったん凍結したために、眼球まで残ってます。黒目が見えるよ怖いよ。成人のミイラは両手で頬を押さえた姿勢で埋葬されていて、しかも頭蓋を変形させられてるんで、まるっきりムンクの「叫び」だ。

 人為的な頭蓋変形と頭蓋穿孔手術、それに首級(敵の首をトロフィーにする)は世界各地に見られる風習だけど、これが三つ揃ってるのはナスカ文化だけなんだそうです。しかし、やたらと血生臭いという点でも、アンデスとメソアメリカは共通してるなあ。アンデスはメソアメリカほど血そのものには固執してなかったみたいだけどね。ナスカ文化は好戦的で、戦争の目的は首狩り。首は持ち運び可能に加工して装飾品のようにしたり、神殿や畑に埋めて豊穣を祈ったりしたという。アンデスでもメソアメリカでも土地の生産性が限られてるから、人口がある程度増えてくると、間引きのために生贄の風習が発達するんだろうな。

 黄金の工芸品も数点ありました。薄ーく延ばしたペラペラの奴。ナスカが衰退した後に発展したシカン文化の金細工に似ている。シカン文化展に行ったのは十年以上前。「黄金」が売りだったんだけどね。解説では金を薄く薄く延ばしたり、銅を混ぜて微妙な色の変化を付けたりする技術の高さが称賛されてたんだが、それって要するに金の産出量が少なかったからじゃねーかと思ったものです。今回の展覧会では展示品の素材が一切表示されてなかったんだが、金細工品のうち少なくとも2、3点は色合いからして、銅がかなり混ぜてあるようでした。つまりシカンの金細工の技術は、ナスカから受け継いだものだったということですね。シカンも生贄やら殉葬やらが多かったらしい。

 最後は地上絵。幅十メートルの巨大スクリーンに、地上絵を俯瞰するCGが上映される。こういう技術が発達したからこそ、ナスカ展というものが開催可能になったわけだよな。ところで、地上絵って地面をたった数センチ~数十センチ掘っただけのものだったんだね。知らなかった。有効な保存策は実質的には無いんだそうな。世界遺産なのに。

|

« 『ミノタウロス』その二 | トップページ | 事実だけとは限りません »

鑑賞記」カテゴリの記事