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ハリウッドランド

 映画館で観たかったんだけど、上映期間が短くて気が付いたら終わってたんだよね。ネタバレ注意。

 TV版『スーパーマン』の俳優ジョージ・リーブスの自殺の謎を描くサスペンス。とは言うけど、実際に起きた未解決の事件を扱っているわけだから、『ゾディアック殺人事件』と同じく謎は謎のまま「真相の仄めかし」程度で終わらざるを得ない。要するにカタルシスのない作品になる。かといって『ブラックダリア』みたいに強引に「解決」されても釈然としないしね。

 というわけでオチはやや尻すぼみではあるものの、人間ドラマとしては充分楽しめた。『スーパーマン』をまともに観たのは06年の『リターンズ』が初めてという体たらくで、スーパーマン自体にはなんの思い入れもないんだが、ヒーローとなってしまった三流俳優の悲哀は、普遍性のある物語として興味深かった。ベン・アフレックは、あのぬぼーっとした顔と図体が好きじゃなかったんだが、三流から脱することのできない俳優という本作の役には非常に嵌まっていた。弟(『ジェシー・ジェームズの暗殺』のケイシー・アフレック)とは全然似てないと思ってたんだが、改めて見ると目がよく似ている。しがない探偵のエイドリアン・ブロディは髪型のせいもあって、なんかショーン・ペンみたいだった。役自体も、十年くらい前までだったらショーン・ペンがキャスティングされてそうだ。ブロディのほうがペンより繊細だが。

 作品の雰囲気は、『チャイナタウン』を髣髴とさせた。ロサンゼルスを舞台にした探偵ものという共通点だけじゃなくて、なんというか全体の物憂い感じが。ただ、構成には問題がある。謎を追う探偵と、死に至るまでのジョージ・リーブスという二つの時間軸が展開するんだが、過去のパートの一部には探偵の想像が混入している。それならそれで、過去パートはあくまで探偵が捜査と推理によって再構成したものとするべきだっただろう。「真相」なのか「推理」(想像)なのかはっきりしないまま過去パートが進み、結局未解決のままで終わるので、余計に肩透かし感がある。ジョージ・リーブスの関係者の中で、探偵が最も多く接触できたのが老いた母親だが、彼女とリーブスのシーンが一つもないのもな(明らかに母親はリーブスの人格形成に大きな影響を及ぼしていると思われるのに)。この母親役のロイス・スミスが非常に巧かっただけに残念だ。

『アルゴ』感想

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