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デイズ・オブ・グローリー

 えーと、日本未公開で販売元はアルバトロスですね。カンヌ男優賞受賞(主要キャスト5人)、セザール賞脚本賞受賞、アカデミー外国語映画賞ノミネート。

 第二次大戦中、フランスの植民地(モロッコやアルジェリアなど)の現地人部隊を描いた作品。1943年から始まるので、北アフリカ戦役ではなくイタリア以降。部隊は志願兵から成り、彼らの望みは「祖国(フランス)」のために戦い、自分たちの待遇をよくすることである。しかし至るところに差別は存在し、どれだけ戦ってもフランス人のように昇進はできず、装備もまともに与えられない(雪の中をサンダルで行軍する兵士もいる。観てるだけで痛くなる)。

『グローリー』みたいだなあ、と思いながら観た。以下、両作品ネタバレ。南北戦争に於ける初の黒人部隊の話を臆面もなく白人の視点から描いたもので、マシュー・ブロデリック演じる若き白人将校が黒人部隊を押し付けられて、権利は要求しても義務は嫌がる身勝手な黒人どもに愛の鞭をくれつつ彼らのために北軍の腐敗とも戦い、やがて黒人兵たちの忠誠を勝ち取り、彼らが白人に貢献できることを示すために玉砕へと導くのである。エドワード・ズウィックは玉砕が好きなんだろうか。好きなんだろうなあ。でも『ブラッド・ダイヤモンド』みたいなのも作ってるわけだから、才能にムラがある人なんだな。

『デイズ・オブ・グローリー』は勝手に付けられた邦題かと思ったら英題だった。なんにせよ『グローリー』を念頭に置いているものと思われる。有色人種が白人に対して自らの価値を示そうとするという構図は(玉砕に至るところまで)そっくりなわけだが、なんにも考えてないんじゃないかってくらいに無批判に讃美するズウィックと違い、アルジェリア系フランス人のラシッド・ブシャールは明らかにこの構図を批判的に捉えている。なのに『グローリー』とぴったり重なってしまうほどの凡庸な脚本(でもセザール賞受賞なんだよな)。意図的ならまだしも、どうもそうではないようである。で、しかもこの英題か。この「なんだかなあ」観が全編に漂う作品でした。ちなみに仏題(同じ単語は英語にもあるけど)は『INDIGENES』。indigeneは現地人、原住民といった意味で侮蔑的なニュアンスを含んでいるそうだ。

 そういうわけで脚本はいまいちだし、片手が不自由な兵卒が最前線で戦い続けられるものなんだろうかという疑問もあったりするが、見るべきところはそれなりにある。時々挿入されるちょっとしたユーモアも悪くない。「テロリスト」でも「剽悍なベドウィン」でも「貧しい移民(または難民)」でもないアラブ系というのは、ちょっと珍しかった。心理描写はほとんどないんだが、それでも各キャラクターの内面の複雑さが表現されているのは、それぞれの役者の演技力に負うところが大きいだろう。とはいえ、男優賞に値するほどとも思えないんだけど。

 功績が少しも評価されないことに苛立つインテリのアラブ兵は、昇進を確約され、決死隊に志願する。彼以外は全滅という代償を払って橋頭堡を守りきったが、称賛の言葉もなく、悲願の昇進は「じゃあ別の部隊の兵長が戦死したから代わりに」と、犬に食べ残しでも投げるように与えられる。その時の彼の呆然とした表情が印象的だ。この終盤ぎりぎりのシーンは演出も含めてすごくいいんだけどね、それまでがなあ。

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