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ナルニア国物語第2章

 カスピアン王子の角笛。

 なんの期待もしていなかったので、失望もしなかった。『ライオンと魔女』は、子供が喜ぶディテールがたくさん詰め込まれているけど映画向きな盛り上がりには欠ける原作を、ディテールを切り捨て、アクションを無理やり押し込んだ、制作者の無能を示す作品だった。今回は原作にも戦闘場面はふんだんにあったわけだが、制作者はそれに脊髄反射で飛び付き、地に足の着いたディテールはまたしても切り捨てた結果、児童文学的要素と凄惨な戦闘場面が甚だしくそぐわない。しかも前回と同じく、作品を支える細部が捨てられ、残った児童文学的要素が実にしみったれた「子供だまし」レベルなのである。あんたら、子供を馬鹿にしてるだろ。

 原作では13歳くらいのカスピアン王子を、26歳のベン・バーンズが演じているというのが、この作品のすべてを象徴している。確かに13歳では幼すぎるだろうけど、せめて長男ピーター役のウィリアム・モーズリーと同年代(1987年生まれ)にできなかったのか。ベン・バーンズは『スターダスト』の時は、チョイ役にしてはえらく男前だと思ったけど、王子キャラには興味がないので、今回はどうでもいい。スーザンとの取って付けたロマンスも、もうほんとにどうでもいいよ。

 とりあえず、前回は動物のCG(特にビーバー夫婦)が安っぽいにもほどがある出来だったが、今回はだいぶマシ。巨人の間抜けさや、ふくら熊の前足をしゃぶる癖といった原作の笑いのエピソードを削いだ上で、愚にもつかないギャグを入れるのは勘弁してくれ。でも、画面の端っこで熊が前足をしゃぶってたので赦す。「白い魔女」の登場は悪くなかった。というか、このスタッフ陣にすれば、という限定付にすれば、むしろ上出来。まあ単にティルダ・スウィントンが見れて嬉しかったというのもあるけど。音楽のハリー・グレッグソン・ウィリアムズはいつも以上のやっつけ仕事で、ほとんど『キングダム・オブ・ヘブン』の編曲レベルだった。

 テルマール人の国家がどんなものだったのか、まったく描かれないので、戦いの後、民衆がナルニアの異形の者たちをまるで解放者のごとく迎える場面が白々しいことこの上ない。もうどうでもいいというか、何も言いたくないんだけど。以下、次作『朝びらき丸、東の海へ』について、ネタばれ注意というほどのことでもないんだけど、一応注意。

 今回のどうでもいいロマンスで、スーザンが「わたしは1300歳も年上だから、うまくいかないわ」とか言うんだが、これは次回への伏線に違いないと予測。カスピアンがどっかの島の領主から娘との縁談を持ち掛けられたりするから、その際、ルーシーに「スーザンのことが忘れられないのね」とか言われたりして、で、最後に星の娘とくっついて、「やっぱり年上が好みなのね」とかそういったことをウニャウニャやるつもりだろう。ただし、伏線を張ったことをスタッフが忘れている公算も高そうだ。

第3章感想

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