« アンダーグラウンド | トップページ | アンヘル »

イブラヒムおじさんとコーランの花たち

 60年代、パリの裏通り。風景、ファッション、音楽。父親と二人で暮らすユダヤ人の少年は、豚の貯金箱に貯めたお金で娼婦を買い、「プレゼントを持ってくるものだ」と彼女に言われると、大事にしていた古びた縫いぐるみを贈る。

 少年のアパートの向かいで雑貨屋を営むトルコ人のイブラヒムはなんでもお見通しで、これは何やら意味不明の人生訓を垂れる「東洋の賢人」の系譜に連なるんだろうけれど、オマー・シャリフだから説得力がある。『スターダスト』でのピーター・オトゥールの邪悪な王様も素晴らしかったし、『アラビアのロレンス』組(二人とも1932年生まれ)には胡散臭くも素敵な老人として末永く活躍してほしい。
 ところで『オーシャン・オブ・ファイアー』の時も気になったのだが、いつから彼はすきっ歯になってしまったのだろう。

 イブラヒムおじさんは少年を「モモ」と呼ぶ。少年の正式な名はモイーズMoïse(モーセ)で、ユダヤ風の名前ということになるらしい。訪ねてきた母親に、彼は「名前はモモ。モハンマドだよ」と名乗り、母子の対面を拒む。モモMomoとはモーリスMauriceの愛称で、語源はムーア人、すなわちイスラム教徒であり暗示的なような気もするが、たぶん関係ないだろうな。

|

« アンダーグラウンド | トップページ | アンヘル »

鑑賞記2008」カテゴリの記事