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崖の上のポニョ

 父と姪、妹ⅠおよびⅡと共に鑑賞。『千と千尋』、『ハウル』と、何か坂を下っていくようだったので、期待と関心は専ら4歳の姪がどんな反応を示すか、というかそれ以前に最後まで鑑賞しとおすことができるかに傾いてしまっていた。

 前日、お泊りにきた姪に、隣の席に座らせてもらう約束を取り付けるが、案の定、当日には忘れ去られ、彼女はさっさと妹Ⅰ(ママ)と妹Ⅱの間に納まってしまう。地元の映画館だったので、幼稚園から小学校低学年くらいの子供たちがいっぱいであった。
 古い劇場なので規模も小さく、クーラーがあまり効いておらず、スクリーンもなんとなく古臭い(演芸場を兼ねていたのか、ステージ状になっていて真っ赤なカーテン付き)。そこに子供たちの声が重なるので、まるで子供の頃、夏休みなどに公民館や市民会館で開催されていた映画鑑賞会のようだった。

 とはいえ、上映されたのはわけのわからん道徳映画などではなく、『崖の上のポニョ』なので、退屈してぐずったりする子は一人もおらず、ポニョが何かするたびに笑い声が上がる。姪は前日から著しく興奮状態にあって深夜まで眠らず、翌日も興奮が続いていたのだが、案の定、映画館に到着して並んでいる間にバッテリー切れを起こしてぐったりしていた。それが始まった途端に大喜びである。

 声優のメソッド(いわゆるアニメ声の喋り)が嫌だというのは解るが、声優を使わないデメリットはやはり滑舌と発声の悪さだ。今回はそれが特に顕著だった気がする。子供たちは立派に演技し喋ってたんだけど、大人たちがね。いや、所ジョージの演技はなかなか味があったが、それでもかなり聞き取りづらい。滑舌と発声に俳優もスタッフも無頓着という問題は邦画全般に見られ、だから私は邦画をあんまり観ないのである。
 しかし今回の観客は小さな子供たちばかりなので、台詞にはほとんど留意しない。変な絵、変な動き、変な音が出るだけで大喜びである。それに助けられたのと、『千と千尋』と『ハウル』に共通していた後半の失速が今回はそれほどではなかったので、かなり楽しく鑑賞することができた。ポニョが魚の波に乗って走るシーンでは心が躍った。「ワルキューレ」もどきの音楽はアレだが、子供たちの興奮した声に掻き消されて、ほとんど聞こえなかったのでした。全体に細部の描き込みが減っていたのは残念だが、やはり宮崎アニメの真髄は「動き」にあると言えるだろう。

『ハウル』に比べればまっとうにプロットが存在したので気楽に観ていられたが、後半のポニョと宗介がポンポン船を失ってからの「試練」が、見慣れたなんでもないはずの場所が不気味に感じられる、あのトンネルのようなポイントを幾つか経る冒険行だったらよかったのにと思う。ま、上映時間があれ以上延びていたら、お子様たちの集中が続かなかったと思うけど。

 というわけで、結構な体験でした。エンディング・テーマが「ポーニョ、ポニョ、ポニョ」と始まった途端、子供たちが大合唱を始めたのには感動すら覚えましたよ。
 今回は62歳の父(直前まで何度訂正されてもポニョを「プニョ」と言っていた)が楽しめるかどうかも懸念していたのだが、これも杞憂だった。海の描写にはかなり感心していた様子だ。ところで姪はポニョが半魚人化するたびに他の子たちと一緒になってケラケラ笑っていたのだが、後で聞いたところ、「ちょっと気持ち悪かった」そうである。子供って怖くても笑うんだよね、そういえば……

『ハウルの動く城』再鑑賞記

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