« ○度目の正直 | トップページ | 先日打ち合わせがありまして »

訃報

 亡くなられた伊藤計劃氏とは、一度しかお会いしたことがない。昨春、佐藤亜紀先生の吉川英治新人賞の受賞式でのことである。

 その後、お会いする機会はいくらでもあるだろうと思っていた。実際、内輪の集まりでお会いする機会は二度ほどあった。しかしそのたびに、当日になって伊藤氏は体調不良で欠席された。
 亡くなられたまさにその日も、症状が相当重いという話を聞いた。だが、ぴんと来なかった。私が一度だけお会いした時、伊藤氏は非常にお元気そうだったからである。何しろ授賞式の三次会まで参加されて、終電を逃してタクシーに乗り込む時まで元気いっぱいだったのだ。

 二次会で伊藤氏とお話をして印象的だったのが、氏の「小説家になれてとにかく嬉しかったのは、自分が読んでる本の作者に実際に会えるようになったことだ」という言葉だった。本当に嬉しそうで、今から思えば、あの時は体調もよかったのだろうけれど、それ以上に気分が高揚していはって、あんなにお元気そうだったのだろう。

 そんなわけで、私にとっては伊藤計劃氏はこれからもずっと、「小説家になれてよかった」と仰った元気な姿のままなのだろう、と思う。

|

« ○度目の正直 | トップページ | 先日打ち合わせがありまして »

日常」カテゴリの記事