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ダークナイト

 作品としての出来の良し悪しにかかわりなく、画面が暗い(文字どおりの意味で光度が低い)映画が苦手である。曇りの日に気が滅入るのと同じで、生理的なものであろう。

 だから、ヒーローが夜しか活動しないので必然的に夜のシーンばかりのバットマン・シリーズは苦手なんだ。ゴッサムシティって、昼間でもなんか薄暗いし。

 前作(『バットマン・ビギンズ』)よりはおもしろかった、というのが端的な感想だが、前作については、キリアン・マーフィーがとにかく変な顔だった(整っているのに、目鼻のバランスが妙)、ということしか印象が残っていない。

 「人間の本性は善か悪か」という問いは、心底どうでもよくて(どっちも本性ってことでええやん)、悪役が「人間の本性を見せてやるぜ」とか言い出すと、いやもう勘弁してください。二時間半も使ってやることじゃないだろう。あと、暴力シーンが痛々しいものが多くて、しんどかった。

 ヒース・レジャーのジョーカーの演技は壮絶で、本当にぎりぎりまで自分を追い込んでいる印象だ。たとえ観ているほうが彼のその後を知らなかったとしても、痛々しさは否めない。
 アーロン・エッカートは正義感の強い検事を演じてなかなか巧かった。ゲイリー・オールドマンは善人の演技が巧くなったなあ(前作ではまだ少々違和感があったのに)。そしてますます「爆死」から遠ざかるのだな。

 (画面が暗いのも含めて)重苦しかったが、映像その他、いろいろと得るものがある作品ではあった。

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