スラムドッグ$ミリオネア
貧困や戦争といった状況に置かれた人たちを「逞しく生きている」とか評する言説が嫌いである。そら逞しいはずだよ、逞しくない人たちはとっくに死んじゃってるんだから! というのは措いといても、「豊かさの中で失われた本当の人生」云々、「子供たちの瞳の輝き」云々と発言する人は、それが上からの目線であり、そうした状況の肯定や賞賛になりかねないことを自覚すべきだろう。
てなわけで、単に舞台がインドだからってだけじゃなくて、作りが巧いからである、「御都合主義」という言葉が批判だと思ってる人たちの批判を成立させないほどの力をこの作品が持っているのは。
しかし、登場するすべての人物と価値観の中で、ぶっちぎりに「最強」で「正しい」のは、全身うんこまみれの少年に平然とサインしてあげる映画スターである。
最後だけマサラ・ムービーにするなら、駅の群衆だけじゃなくて、クイズ番組の司会者とスタッフ、観客、テレビの視聴者たちにも踊らせてほしかったけどな。
アカデミーを受賞した作曲のラフマーンは、『ムトゥ 踊るマハラジャ』の人。サントラ買おうっと(『ムトゥ』のサントラは、もちろん持ってるとも)。
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