未来少年コナン(TV版)
本放映と2、3年後の再放送で、それぞれ断片的に観ただけなので、ちゃんと通して観るのはこれが初めてなのであった。
記憶の中のばらばらのシーンが、ほぼ30年を経て繋がる。ああ、こういう話やったんか。一方で、それらのばらばらのシーンの記憶があまりに鮮明だったことに驚く。それだけ強く印象に残っていたということだ(しかし、エンディングテーマはよく憶えているのに、オープニングテーマのほうはまったく憶えていなかったということは、いっつも見逃してたんだな)。
実際、今観ても非常におもしろい。最初の8話ほどは、姪が偶々遊びに来ていた時に、家族全員で鑑賞したのだが、皆で感心する。制作当時は今に比べて技術的にもいろいろ制約があっただろうに、動きとかすごすぎる。
姪(私が初めてコナンを観た時と同じ5歳)は大喜びだった。いや、彼女は現在『プリキュア』に嵌まっているんだが、プリキュア観てる時よりよっぽど楽しそうだったよ。
ジムシーが飲酒してたのは憶えてたけど、喫煙までしてたのは忘れてたんで驚いた(当時は周囲に喫煙者がいなかったので、何をしているのか理解できなかったのかもしれない)。いや、「酒」とか「煙草」とは一言も言ってないんだけどね。
ほかにも今の子供向けアニメ枠では絶対放映できないようなシーンがいろいろ。流血(大量ではないが)とか、子供への暴力とか。今じゃ、『ドラえもん』のジャイアンがのび太を殴るシーンもカットされるってのにね。姪はコナンとジムシーがボコられるのを見て大喜びしてました。
インダストリアを脱出するまでの前半のほうがおもしろかった。ハイハーバーに着いてから、やや中だるみしたと感じるのは、全26話を数日間でまとめて観たからであって、TV放映の時はそれほど問題ではなかっただろう。
しかし「労働の尊さ」をああもストレートに説かれると鼻白んでしまうし、その後再びの急展開も、前半の躍動感が失われている。
まず、コナンとジムシーの驚異的な運動能力(結局、この二人がどうしてこんなにすごいのか、って説明は一切ないんだよね。いや別にいいんだけど)を活かしたアクションがもはやない。これは話作りの問題。
それから、これは技術的な問題なんだろうけど、侵略、自然災害、反乱、ロストテクノロジーの復活と、続出する大イベントのいずれもが力不足が否めない。侵略や反乱については、子供向けアニメという制約も大きかったんだろうな。
まあでも結局のところ、私は前半の展開が好きなんだろう。
『ミカイールの階梯』脱稿の頃、「今度の話は、“男の子と女の子が出会って、すぐに女の子がその特殊な力ゆえに悪党にさらわれて、それを男の子が助けに行く”という『未来少年コナン』みたいな話を女の子同士に置き換えてるんですよ。コナンはちゃんと観てないんだけど」というようなことを言った。
そしたら、親切な友達がDVDを貸してくれたのであった。
そういや『コナン』は私が初めて出会ったポスト・アポカリプトものだなあ。
ちなみにリューダの武器が槍なのは、コナンの銛とは関係ありません。強いてルーツを求めるなら、『イルスの竪琴』のライラだ。戦闘美少女だし、近衛隊(guards)だし。
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