ヘルボーイ/ゴールデンアーミー
キャラクター描写は前作のほうが丁寧だった気がする(ヘルボーイもエイブも前作では可愛く感じたのに、今回は特にそう感じなかったのである)。
しかし無闇にガチャガチャしたギミック(しかもよく動く!)と無闇に禍々しいクリーチャーたちの造形は、キャラクター描写やストーリーの浅さを補って有り余る。まったくオリジナルなようでいて、「歯の妖精」とか「トロールは橋の下にいる」とか小ネタも効いてるし。トロール市場は、今まで描かれた異形のバザールの光景として最高の一つに数えられるのは間違いない。ただし、巨大な植物の精霊はいまいち。
まあストーリーに関しては、前回だって大して工夫があったとは言えないしな。いい加減「ナチの残党」ネタは食傷してるんで、今回の完全にファンタジーな敵のほうが、あっさりしていてよかったですよ。
しかしこれだけのデザインを投入しておきながら、見せ方が不十分なのが惜しまれる。惜しげもない使い方をしてるといえばそうなんだけどさ。痴話げんかとか中間管理職の悲哀とか水棲人とエルフの王女様のロマンスとかどうでもいいから、異形の者たちが人間世界の片隅でどんなふうに暮らしているのか、もっと描いてほしかった。『ナイトウォッチ』や『アンダーワールド』以上に絶対おもしろくなったはずだ。
それにしても、エルフの王子様が香港仕込のワイアーアクションで戦う(武器の使い方までが香港風だった)時代になったのだなあ、とか思ったり。
今回は味方の描き方が全体にいまいちの中で、新任指揮官のヨハン・クラウス博士はなかなかよかった。
『ホビットの冒険』の映画化がすごくすごく楽しみである。
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