インクレディブル・ハルク
アン・リー監督版のほうは、あまりに駄目すぎて(すべてに於いて)開始後15分ほどでDVDを止めたんだよな。なんか、いきなり回想シーンに入って父親が出てきて、だーもーやめてくれよー。
エリック・バナもジェニファー・コネリーもなまじ好きな役者だけに、あの精彩の欠如はつらすぎるものがありました。
今回のルイ・レテリエ監督(『トランス・ポーター』の)版は、「主人公が特異な力を獲得(または元から持っていた力に覚醒)し、最初の敵を倒す」というヒーローもの第一作の定石から外れている。まず、「特異な力の獲得」はオープニングにダイジェストで提示し、物語は主人公が逃げている(彼の力を付け狙う悪い軍部からも、彼自身の力からも)ところから始まるのである。
エドワード・ノートンもティム・ロスもそれほど好きな役者ではなくて、特にエドワード・ノートンは『アメリカン・ヒストリーX』のナルシズム全開に著しく評価を下げていたのだが(『キングダム・オブ・ヘヴン』はずっと仮面を着けっ放しだったのでよかった)、今回、いろいろ過酷な状況にもかかわらず殊更苦悩してみせたりせず、淡々と乗り切っていく科学者を演じて大変素晴らしかった。
ティム・ロスも、いい齢をして戦闘バカという軍人を楽しそうに演じていてよろしい。
ウィリアム・ハートは『ヒストリー・オブ・バイオレンス』で悪役演技に開眼したようです。
リヴ・タイラーは前髪があるほうが可愛いなー。デコ出してると、顔が長く見えるからなー。エルフのお姫様の時とか。
潜伏先がブラジルのスラムで、最初の戦闘はそこで行われるわけだが、こういう場所が特に選ばれたというのは、やはり『シティ・オブ・ゴッド』からの流れなのだろうか。なんにせよ、作り手の力量が問われるロケーションだとは思うが。
ブラジル(のどの辺りを想定してるのか知らんけど)で変身して、次に気が付いたらグアテマラだった、ってのは、ハルクの能力がそれだけ凄いという表現なのか、それとも制作者たちの地理感覚の欠如を示しているのかどっちだ。
なんかラストにロバート・ダウニーJrが出てきて、『アイアンマン』と繋げる気まんまんのようですが、今のところ『アイアンマン』を観ようという気が起きないんだよな。
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