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S‐Fマガジン10月号

 本日(09年8月25日)発売のS‐Fマガジン10月号に、エッセイを掲載していただきました。珍しく依頼されたお仕事です(HISTORIAシリーズは、頼まれもしないのに書いたのを刊行していただいております。大変ありがたいことです。その感謝を忘れたことはありません)。

 今号は神林長平氏、谷甲州氏、野阿梓氏のデビュー30周年記念特集という豪華さで、私は神林氏の特集に1頁書かせていただきました。一番好きな、というか一番思い出のある作品ということで、「完璧な涙」についてです。同特集ではほかに出渕裕氏、海猫沢めろん氏、虚淵玄氏、榎戸洋司氏、円城塔氏、大倉雅彦氏、桜坂洋氏、佐藤大氏、辻村深月氏、元長柾木氏がエッセイを書いておられます。

 ほかの方々のエッセイに比べて、個人的なことをあんまり書いてないんで、これでよかったんだろうか、という気がします。
 いや、『完璧な涙』でどこがどんなふうに印象的だったか、という内容だから個人的なのは個人的なんですが、作品との出会いとかそういう思い出については触れてないんで。

 というわけで、ここではエッセイで書かなかったもっと個人的なことを補足させていただきます。

『完璧な涙』は四つの短編からなる連作集で、その第一作であり表題作である「完璧な涙」と出会ったのは86年か87年、『S‐Fマガジン・セレクション1985』に於いてでした。中学2年か3年ですね。神林氏の作品自体との最初の出会いでもあったはずです。

 当時の私にとって、早川のSFはちょっと~かなり難しくて、でもその難しさがどうしようもなくかっこよかったのでした。でした、というか、今でもそう思っているフシがあります。

 その後、私はSFから離れ、さらには小説そのものもほとんど読まなくなってしまうのですが、大学時代の後半、偶々東城和実氏のコミック(タイトルは失念してしまいました)のあとがきで、『完璧な涙』が紹介されていたのが、再会(もしくは第二の出会い)となるわけです。
 懐かしかったのと、「あれ? もしかしてあれで完結じゃなくて連作だった?」という疑問から、すでに一冊にまとまって刊行されていたことをようやく知り、読んでみて、後はエッセイに書いたとおり、「感情がないキャラクター」というある意味ありふれた設定の、斬新な描き方にいたく感心したのでした。

 その後、しばらく神林作品を中心に日本SFをひとしきり読み続けたのですが、何しろ当時はSFが厳冬の状況にあったためか、しばらくすると再びSFから離れてしまったのでした。3、4年してまた戻ってきて、現在に至る。

 しかしそうやってSFとよりを戻したりまた別れたりを繰り返している間も、感情と意思と身体の関係性はずっと印象強く残っていて、それが認知科学への関心に繋がっているわけです。

720910 S‐Fマガジン 2009年 10月号

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