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スピード・レーサー

 ちょっと久し振りの映画鑑賞記。

『マッハGO! GO! GO!』は未見なので、どうアレンジしてあるのかは判らないんだが、昔のタツノコのアメコミテイストは、ハリウッド映画化に向いているかもしれない。もちろんアメコミの映画化と同じく、監督が有能かつ原作をよく理解してなきゃ駄目なんだけど。

 ウォシャウスキー兄弟監督作は『バウンド』と『マトリックス』1作目しか観てない。レズビアンのカップルがマフィアの金を奪うサスペンス『バウンド』は佳作だが、『マトリックス』は特殊効果の使い方が大変巧いという点だけでしか評価できない。
 そしてこの『スピード・レーサー』は、おそらく原作を大変愛している上によく理解していると思われ、かつ特殊効果の使い方も技術の進歩に合わせて進歩している。脚本・設定には多少矛盾があるが(なぜ大企業の御曹司がライバル企業の手先として八百長レースをやらされてるのかとか、謎の覆面レーサーXがあそこまでして正体を隠し通す必要があったのかとか、真田広之が出てくる必要があったのかとか)、まあ手堅くまとめられている。(昔の)アニメ的な演出とゼリービーンズのような極彩色との融合も素晴らしい。
 ただ難を言えば、私のように動体視力の悪い人間には、レースはスピードが速すぎて何がどうなっているのかよくわからないことがしばしばだった。この作品に限らず、最近のアクションものにはよくある。

 主要な女性キャラクターが、有能なのに男をサポートする位置に徹してるのが微妙(テジョの妹もその位置だと言える)。
 車の設計とか整備とかだってサポートだけど、それは各自の「仕事」でもある。だけど「パートナーの成功が私の成功」みたいな彼我の区別のついてない夫唱婦随ってさあ。原作に忠実だからだとしたら、まあ下手に改変しなくて正解だとは思うけど。エミール・ハーシュに尽くすクリスティーナ・リッチという配役が、余計にこの構図の歪さを浮き上がらせてるな。

 一番演技が巧かったのは、チンパンジーでした。

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