« 階梯 | トップページ | 4ヶ月、3週と2日 »

トリビュート発売

 10日(火)発売ですが、一部の書店にはすでに並んでいるようなので。

112174_2 『神林長平トリビュート』

早川書房

.

.

 参加する作家とトリビュートした作品は以下のとおり(50音順)。

  • 海猫沢めろん 『言葉使い師』
  • 虚淵 玄    『敵は海賊』
  • 円城 塔    『死して咲く花、実のある夢』
  • 桜坂 洋    『狐と踊れ』
  • 辻村深月    『七胴落とし』
  • 仁木 稔    『完璧な涙』
  • 元長柾木    『我語りて世界あり』
  • 森 深紅    『魂の駆動体』

 序文は神林氏が書かれています。

 私も含めて八人全員の作品が、神林氏のオリジナルを未読でも問題なく読めると思います。神林氏の八作品を全部は読んでいない、もしくは一作も読んでいない方でもどうぞ。氏の作品を一度も読んだことのない方も、神林ワールドへの入門書、もしくは案内書として本書を読んでみてはいかがでしょうか。

 以下、『完璧な涙』のことなど。

 4篇の短編から成る連作集です。表題作「完璧な涙」に出会ったのは中学生の頃でした。『S‐Fマガジン・セレクション』1985年版掲載。連作だと知ったのは少々遅くて、大学生になってからでしたが。
 デビューが決まった2004年春、「好きなSFは?」という塩澤編集長(当時)の質問に、『完璧な涙』と答えたのを憶えていただいていて、今回の参加となりました。

 73年生まれなので、80年代(+バブル期)はある意味「人生最悪の時期」とほぼ重なり、当時の文物は見るのも思い出すのもおぞましいのですが、唯一と言っていい例外が、80年代前半のSFです。
 子供向けでないSFを読み始めたのが84年頃。魅了されたのは、その近寄り難さゆえでした。12、3の子供には少々(~かなり)難解なのを背伸びして読んでいたというだけでなく、その硬質さがとてもかっこよかったのでした。特に日本SFは硬質さに加えて、ある種の澄明さがありました。

 今回の『完璧な涙』トリビュートは、神林作品も含めて80年代前半の日本SF、その硬質さと澄明さへのオマージュとして書きました。なので、文体もこれまでの仁木のものとは変えてあります(文体模写ではありませんが。そんな畏れ多いことはできない)。そんなわけで、よろしくお願いいたします。

追記:

「棠」の中国語の発音をラテン文字表記にすると「tang」になりますが、この「ng」は鼻音なので「ング」とは読みません。作中では敢えて「tongue」と掛けてあります。
 あと、「砂棠」という名の果物(の木)はほんとにあります。

|

« 階梯 | トップページ | 4ヶ月、3週と2日 »

お知らせ」カテゴリの記事