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参考文献録

『イスマーイール派の神話と哲学――イスラーム少数派の思想史的研究』 菊地達也 岩波書店 2005 (「シーア派」)
 日本や欧米に於けるイスラム・イメージのステロタイプの一つが「暗殺教団」なわけだけど、イスマーイール派自体についてはほとんど知られてないだろうな。次作にはイスマーイール派ではなくてイスマーイール本人(755頃没)を登場させる予定なのだが、彼についてはほんとに資料が少ない。
 信憑性ゼロの伝承でもいいから、何かないかと本書を読んでみたわけだが……いや、まあそんなに期待してなかったからいいんだけどさ。

 とりあえず判ったこと:いろんな分派のあるイスマーイール派だが、9世紀以降の史料によれば、イスマーイール当人を重視するのは最初期の一派(「純粋イスマーイール派」と呼ばれる)だけで、あとの分派はことごとく息子のムハンマドを重要人物と見做し、イスマーイールのことは全然顧みなかった。で、最初期(8世紀後半)のイスマーイール派については、当時の史料がまったく残ってないのでほとんど何もわからん状態だということ。

 次作の設定に多少なりとも影響しそうな情報:これまで読んだ本ではイスマーイールの弟は一人だけということだったが、ほかにもう二人いた。そんだけ。

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『海が創る文明――インド洋海域世界の歴史』 家島彦一 朝日新聞社 1993 (「東西交渉」)
 必要な情報はウマイヤ朝末期までだが、それだとあまりにも少ないので補足として10世紀頃まで。というわけで参照したのは全体の3分の2ほど。航海スケジュールや各地の特産物について結構詳しいのはありがたい。
 ただ、シーラーフ港の繁栄をウマイヤ朝末期からとしている(史料に登場するのは9世紀半ば以降)根拠が示されてないんだよな。まあ次作の設定には関係ないことなんだけど。

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