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参考文献録

『イスラム・ネットワーク――アッバース朝がつなげた世界』 宮崎正勝 講談社選書メチエ 1994 (「東西交渉」)
 再読。前回読んだのは、6年前の今頃か。
 先日読んだ同じ著者の『世界史の誕生とイスラーム』(2009)も同テーマなわけだけど、本書は8・9世紀のムスリム商人による交易(インド洋貿易中心)に限定してあって内容が絞れてる分、読みでがある。註もかなり充実してるし。二次資料が多いけど。まあお蔭で参考になりそうな本を何冊か拾えた。

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『千夜一夜物語 ガラン版』 井上輝夫・訳 国書刊行会 1990
「バベルの図書館」というシリーズの1冊として刊行されてるんだけど、この「バベルの図書館」シリーズがどういったものなのか、本書のどこにも説明がない。どうやらボルヘスによる編纂で、イタリアの出版社から出ているものらしい。

 そういうわけで序文がボルヘスが書いてるわけだが、のっけから「私はことあるごとに東洋が西洋の伝統のひとつであることを思い知らされる。」と来た。
 ボルヘスは3、4冊しか読んでなくて、その印象としては「言うほどすごいか?」である。おまえはボルヘスを解ってない、と言われたら、まったく反論のしようはございません。しかしタンゴについてのエッセイを読んだ限りでは、少なくとも音楽に関しては鈍感だよな、と思わざるを得ない。
 で、上記の発言を反語でもなんでもなく、まったく無邪気に行ってるのを見ると、鈍感なのは音楽に関してだけじゃないんじゃないか、という気がしてくるのであった。

 千夜一夜は平凡社東洋文庫版(アラビア語原典版からの訳)を全巻(外伝は除く)と、バートン版を何冊か読んでいる。バートン版を読んだのは小学生の頃で、図書館で、誰かが借りっ放しなのか盗んだのか途中の巻がごっそり抜けてたので、全巻は読んでない。「アラビアン・ナイトってこんなにエッチで変な話だったの!?」と驚き呆れたものだった。20年ほども経って東洋文庫版を読み、記憶にあるバートン版との相当な違いに、エッチで変なのはバートンだったのだと思い至る。

 千夜一夜の「発見者」であるにもかかわらず邦訳の出ていないガラン版から、「盲人ババ・アブダラの物語」と「アラジンの奇跡のランプ」を所収。なぜこの2つを選んだのか不明。「ガランの創作」ということで「アラジン」を選ぶなら、「アリババと四十人の盗賊」とセットにしてほしいものだ(「盲人ババ・アブダラの話」も東洋文庫版にはなかったが)。
 この二作だけなんで、ほかの版との比較もできないし、つくづく編集方針が不明。マルドリュス版でも読もうかな。

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