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参考文献録

『アルハンブラ物語』 ワシントン・アーヴィング 平沼孝之・訳 岩波文庫 1997(1832/1852)
the alhambra
 上下巻。
 著者アーヴィング(1783-1859)は『スリーピーホロウ』の原作者、と言えば知ってる人も多かろう(私は未読だが)。1826-29年、アメリカ公使館書記官としてスペインに滞在した。29年のアルハンブラ滞在を中心にまとめたものが32年の初版、邦訳は20年後に大幅に加筆修正した改訂版(量的には倍以上増加)に拠る。初版から改訂版までの間の1842-44年にはスペイン公使を務めている。

 上巻は主にアルハンブラの紀行と歴史。上巻の最後のエピソード「アラブの占星術師の伝説」以降は、著者が現地で収集した伝説が中心となっている。伝説といっても、著者自身が断りを入れているように、かなり改変しているようである。著者はスペインおよびイスラムの歴史や文化に造詣が深く、よくできた改変なのではないかと思う。アラビアンナイト風あり、騎士道もの風あり、ピカレスクもの風ありで、単独の文芸作品として充分おもしろいものが多い。

 上巻のアルハンブラの紀行と歴史のパートもおもしろかった。私は電車で小説を読むと、ほぼ確実に乗り過ごすので、先日渋谷に行った際、車内本としてこの『アルハンブラ物語』の上巻を選んだのだが、ものの見事に品川で乗り過ごしましたよ。

 ナポレオンのスペイン戦役が、「ついこの間のこと」として語られており、少々戸惑った。初版当時はまさしく「ついこの間のこと」だったわけで、いかに私がこの時代に書かれたものを読んでないかの現われだな。

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