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参考文献録

『ハルーンとお話の海』 サルマン・ラシュディ 青山南・訳 国書刊行会 2002(1990)
haroun and the sea of stories
 初ラシュディ。
「アラビアンナイト風」だという触れ込み(『アラビアン・ナイト必携』その他)だったが、主人公ほか数人のキャラクターの名がイスラム的だったりインド的だったりするほかは、アラビアンナイト風もしくはオリエント風の要素はほとんど感じられなかった。
 普通の欧米のよくできた児童文学というか、欧米の普段は児童文学を書かない作家(SF作家とか)によるよくできた児童文学という感じ。別に無理やりエキゾティシズムを見出さなくてもいいんじゃないの、と思う。まあそれだけ欧米文学にアラビアンナイト的要素、オリエンタリズム要素が溶け込んでる、という言い方もできるかもしらんが。

 しかし私が現在求めているのは、「欧米人がオリエントに注ぐ視線=エキゾティシズム」および「オリエントの著者が描くオリエント=ヨーロッパ人のオリエント観を意識せざるを得ない、捩れたエキゾティシズム」なわけで、やっぱ『悪魔の詩』も読もうかな。

 もう一つの月であり「お話の海」がある「オハナシー」とか、そのお話の海を死滅させようと目論む「シタキリ団」の教祖「イッカンノオワリ」とか、原著ではヒンドゥスターニー語になっている固有名詞(巻末に註が付けられているそうだ)を、日本語の語呂合わせに置き換えてるのは、児童文学的に正しいと思う。

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