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参考文献録

『イスラム技術の歴史』 アフマド・Y・アルハサン/ドナルド・R・ヒル 大東文化大学現代アジア研究所・監修 多田博一/原隆一/斉藤美津子・訳 平凡社 1999(1992) (「前近代科学・錬金術」)
Islamic technology: an illustrated history
 原題の副題どおり、図版がかなり多い。
 序章(第1章)でイスラム科学史概説、第2章「機械工学」、第3章「建築と土木技術」、第4章「軍事技術」、第5章「船舶と航海術」、第6章「化学技術」、第7章「織物、紙、皮革」、第8章「農業と食品技術」、第9章「採鉱と冶金」、第10章「技術者と職人」+エピローグと、実に多岐にわたる内容である。

 なもんで、本文350頁弱と決して少なくない分量であるにもかかわらず、序で著者が述べているように、「本書はこの主題に関する簡潔な入門書に過ぎない」。
 問題は、内容が簡潔というよりは「はしょりすぎ」で、特にその技術がいつの時代のものなのかが不明瞭であることだ。時代の明記が困難だというのは判る。原典史料からして真贋がはっきりしない(特に錬金術書)上に後世の加筆も多いから。でも、それ以前に書き方からして問題だよ。判らないなら判らないと書いてあるんじゃなくて、7、8世紀の技術についての記述が、いつの間にか近世以降の技術についての記述になってたりするし。

 アラビア語原典に多く拠っているのは結構なことだが、こんな曖昧な記述じゃあな。同じく序に「本書が科学・技術史の研究者、とくに技術進歩の面でのイスラム世界の貢献を研究することに関心を抱いている者に役立つことを切に願うものである」とあるんだが、そう願うんならもう少し内容に工夫はできひんかったんかいな。いくら紙幅に制限があるとはいえ。
 それとも、科学・技術史の研究者、とくに技術進歩の面でのイスラム世界の貢献を研究することに関心を抱いている者はアラビア語原典を読めるようになれ、ってことか?

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