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参考文献録

『中央アジアの生活環境――ユーラシア=新世紀の自然の宝庫』 都留信也 東洋書店 2003 (「中央アジア地誌・紀行」)
 本文60頁のブックレット。
 誰を対象にしてるんだか不明な本。内容は旧ソ連中央アジアの生態環境そのもの、及びその保護に分かれてるんだが、どっちについての解説も大雑把で中途半端。地名(河川、山、谷、草原、砂漠その他および自然保護地区など)が大量に出てくるのだが、地図は一点だけ、国境線(国名)と首都、カスピ海とアラル海とアム河・シル河が記入されてるだけのいい加減な、というかふざけてんのかと言いたくなる代物のみである。

 羅列された地名すべてを位置とともに諳んじてる読者だったら、本書の内容程度の情報はすでに知っているだろう。動植物の名前も同様で、名前だけからどんな生物なのか判らないものが多く、説明はほとんどない。
 とりあえず土壌や気候についてだけメモを取ってみたが、とにかく地名と位置が一致しないので、情報のほとんどが役に立たない。

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『ゾロアスター教――神々への讃歌』 岡田明憲 平河出版社 1982 (「ペルシア」)
『ゾロアスター教の悪魔払い』 岡田明憲 平河出版社 1984

 前者は本文360余頁のうち、40頁がゾロアスター教の成立と教義の概説、残りが『アヴァスタ』から「ヤシュト書」(神々への讃歌)の抄訳。
 後者は本文300余頁のうち、120余頁がゾロアスター教の教義と儀式についてより詳しい解説、残りが『アヴェスタ』から祈祷および除魔に関する規定を述べた部分の抄訳。
 
 前者の概説は「ヤシュト書」の訳のおまけみたいなものだが、後者の解説はかなり詳しいし解り易い。ただし、あくまで『アヴェスタ』に記されている規定であって、実際にどのように日常や祭事の儀礼が執り行われていたのかについては言及されていない。
 まあ立派な仕事だとは思いますが、両書とも「アフナ・ワルヤ」「アルヤーマー・イシュヨー」「イェンヘー・ハーターム」といった名称の呪文に頻繁に言及するのだが、それらについての具体的な説明はほぼ無かったりとか、そういう感じ。

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「テリアカ考――文化交流史上から見た一薬品の伝播について」 前嶋信次 1966 (『東西物産の交流――東西文化交流の諸相』 誠文堂新光社 1982) (「前近代科学・錬金術」)
 ガレノスが調合したとされる解毒薬「テリアカ」が中東を通じて東西に伝播した過程を論じた、かなり長い論文。
 どうも要点がはっきりしない。中心となるのは(当然ながら)アラビア医学のはずなのだが、イスラム世界にテリアカがいつ頃どのようにして伝わったかについて、まったく言及していない。まあ翻訳を通じてギリシア諸学(医学を含む)が伝わったということなんだろうけど、本論文ではイスラム世界に医学その他のギリシア文化がどのように伝わったかについても述べられていないので、その辺のことを知らない読者にはまったく判らないということになる。
 イスラム圏に於けるテリアカの伝播だけじゃなく、受容がどのようであったかについてもまったく述べられていないのであった。

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