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参考文献録

『サラゴサ手稿』 J・ポトツキ 工藤幸雄・訳 国書刊行会 1980(1805)
『必携アラビアン・ナイト』で、アラビアンナイトの翻案もの(もしくはアラビアンナイトを強く意識して書かれた作品)の中では数少ない傑作の一つとして紹介されていた作品。

 ポーランドの貴族にして学者、ヤン・ポトツキ(1761-1815)が手すさびで書いた小説の、途中までの邦訳である。
 邦訳者解説にはアラビアンナイトとの関係については、ポトツキ自身が語っていた「長患いの妻のために『アラビアンナイト』を読み聞かせていたが、最後まで読み切ってしまった。妻から、もっとこういう話が聞きたい、とせがまれたため、創作することにした」という動機が言及されているだけである。しかし章立てが「第一日」「第二日」「第三日」……と続いていくことや、「枠物語」の構成になっていること、濃厚な東洋趣味など、アラビアンナイトの影響は瞭然だ。

 原文はフランス語で書かれている。主人公にして語り手の青年貴族アルフォンス・ヴァン・ヴォルデンの冒険が、第六十六日まで語られるのだそうだが、フランス語の原文は一部が失われ、現在完全な形に残っているのは、ポーランド語訳だけなんだそうな。邦訳はフランス語版から、第十四日まで。

 第十四日まででも、結構な長さ(日本語で300頁弱)がある。大変おもしろかったし、原文が失われてしまったのは大変惜しいことだとは思うが、まあ最後まで読まなくてもいいやという気がする。枠物語なんで、入れ子になってる話一つ一つがかなり独立性が高いのと、単純計算でこの五倍もの話を読むのは、途中で飽きそうなんで。
 まああと二倍か三倍くらいなら読みたいかも。特に、枠物語の悪党の身の上話はかなり身も蓋もなくておもしろかった。

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