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参考文献録

『古代サマルカンドの壁画』 L・I・アリバウム 加藤九祚・訳 文化出版局 1980(1975) (「中央アジア中世」)
ЖИВОПИСЬ АФРАСИАБА
 原題は「アフラシアブの絵画」。サマルカンドのアフラシアブ遺跡から発掘された壁画の研究報告。
 再読。卒論以来だから、16年振りだ。当時、大学図書館の書庫をうろついていて偶々発見したんだが、「古代」というタイトルに、私の専門(中世)とは関係ねーやと素通りするところであった。取り上げている壁画は6-8世紀のもので、本文にも「中世」と書いてあるのに、この邦題である。
 厳密な時代区分を云々する気はないし、本書に限ったことじゃないけど、単純に語感の問題として「古代=大昔」とするなら、たかだか1500年足らず前は「大昔」じゃないだろ。多少は時代区分を云々したとしても、この時代のソグド地方は封建社会だったわけだし。
 ひょっとしたら「中世」よりも「古代」のほうが世間一般的にはイメージがいいのか、一般向けの言説はもとより、そこそこ専門的な本でも、中世に区分されるべき時代・社会を平気で「古代」と呼んでいる例を頻繁に見掛ける。そのたびに微妙な気分になる。
 いや、ほんまに厳密な時代区分法を云々する気はまったくなくて、ただ単に、「あんたらそんなに中世が嫌いか」と。

 それはともかく、前イスラム期のソグド遺跡の発掘調査報告のまとまった形の邦訳は、本書の前には『西域の秘宝を求めて―埋もれていたシルクロード』(訳者は同じく加藤九祚氏)などが出ているが、本書以降は刊行されていないのは残念なことである。
 先日の『世界美術大全集 中央アジア』等で紹介されている概要を見る限り、新たな発見も解釈も着実に行われているようである。本書当時の図像の解釈はかなり無理あったりして、新解釈のほうが適切に思えるものが多いしな。

「調べてから書く」じゃなくて「書きながら調べる」泥縄方式は、卒論以来変わってないなー。書き進むことによって初めて必要な知識が判ってくるものだと、今ではもう開き直ってるけどさ。

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