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参考文献録

「アヴェスター」 伊藤義教・訳 (『ヴェーダ アヴェスター』 筑摩書房 1967)
 抄訳。初版当時はゾロアスター教の概説書なんて碌に出てなかっただろうし、訳者の伊藤氏による巻末解説も註も初心者に優しいとは言い難いものなので、「世界古典文学全集」だからってだけで買って読んだ当時の読者はさっぱり理解できなかっただろうな。
 とりあえず、「アヴェスター」の引用は本書ではなく岡田明憲氏の抄訳からにする。

『『アラビアン・ナイト』の国の美術史――イスラーム美術入門』 小林一枝 八坂書房 2004
 タイトルやネット等での紹介では、どんな内容なのか今一つがわからなかったんだが、通読してみても今一つ切り口が不明なままだ。

 とりあえず「『アラビアン・ナイト』の国」=中東のアラブ諸国、ということらしい。で、イスラム美術(主に13世紀以前)を①建築、②写本、③ガラス工芸、④金属工芸、⑤陶器、⑥絨毯、⑦イスラーム文様、⑧満月と三日月の表象、に分け、それぞれ章立てして紹介している。
 本文わずか150頁でこれだけ細分している上に、各章に「黒檀の馬」、「アラジンと不思議なランプ」、「シンドバードの冒険」など『アラビアン・ナイト』からのエピソードを附会して頁を割いている。

 まさに「附会」としか言いようがないんだな。『アラビアン・ナイト』翻訳300周年ということで、「中東イスラーム世界の美術といえば、アラベスクとモスク建築しか思い描けない日本人に」(原文ママ)も馴染みのある『アラビアン・ナイト』を絡めて、わかりやすく紹介しましょう、ということらしいんだが。
「本物」のイスラム美術の図版に交じって、西洋人による『アラビアン・ナイト』の挿絵(エドマンド・デュラックとか)が相当数挟み込まれている。なのに、「本書では、アラビアン・ナイト・イメージそのものについて詳しく扱わないが、それは多分にトルコおよびマグリブの美術の影響を受けており、遥か東方のイスラーム諸国、「アラビアン・ナイトの国」とは無縁である。(中略)この話はまた別の機会に述べることにしよう。」

 いや、その話をこそすべきだったんじゃないの?

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