アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち
タンゴの巨匠たち(1910年代~30年代生まれ)の名演を集めたアルバム「café de los maestros」(2006年)の制作から、コロン劇場でのコンサート(2007年)までの記録……という企画であることは、作中では一切説明されてないんだけどね。
映画館はほぼ満席だったが、年配の方々ばかりであった。30代より若い客は、たぶん私と友人だけ。マエストロたちと同年輩と思われる人たちが半数以上。
私は90年代のピアソラ・ブームでタンゴを聴くようになった口だが、あのブームはやっぱり一過性だったのかな。タンゴ・コンサートに行っても、昭和30年代のブーム以来のファンと思しき年配の人が大半だし。
構成は、マエストロたちへのインタビューと彼らの演奏というもので、明確なストーリーはない。演奏は素晴らしいし、短いインタビューにも溢れ出るマエストロたちの強烈な個性も素敵である。
しかし御高齢の方々には少々つらかったのであろうか。爆睡するする。劇場内には高鼾が響き渡ったのであった。
それでも最後のコロン劇場でのコンサートになると皆さん目を覚まし、帰り際にはたいへん満足した様子でしたので、私も安心しましたが。
ピアソラは好きなんだが、ずっと聴いてると、奇を衒いすぎなのが鼻に衝いてくる。全体にアメリカナイズされすぎだし、特に70年代のシンセサイザーを多用した曲にはかなり辟易するというか。
そうすると、もっとシンプルなタンゴが聴きたくる。20年代の曲はさすがにシンプルすぎるので、40年代~50年代の、ちょうど今回のマエストロたちの最盛期の曲を聴く。
しかし本作はたいへん価値のある映画だとは思うんだけど、タンゴの新しい動きとは直接には結び付かんよね。タンゴの現状についてはほとんど触れられていないし(マエストロたちの一人が学生たちを教えている短い場面があるのみ)。
出演したマエストロは22人に上るんだけど、撮影開始から現在までに、8人も亡くなっているそうである。
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