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参考文献録

「シンドバッド第八の航海」 スティーヴン・ミルハウザー (『バーナム博物館』 柴田元幸・訳 白水社 2002(1990))
The eight voyage of Sinbad [the barnum museum]
 老いたシンドバッドが語る「第八の航海」(シンドバッドの航海はどのヴァージョンでも七回までしかない)、己が体験した航海と語った航海について追想するシンドバッド、「シンドバッド」のテキストに関する考察、の三つのパートから成る。
 語られる「第八の航海」の内容は、『千夜一夜』のさまざまなエピソードからパーツを抜き出したパスティーシュ。著者は『千夜一夜』、および『千夜一夜』の研究文献を相当読み込んでおり、単にエキゾティックな味付けをするためだけに『千夜一夜』を持ち出したのではない。
 とはいえ、せっかくこれだけ知識があって、深い考察もできるんだったら、シンドバッドに絞らず、『千夜一夜』全体についてもっと長く、もっと重層的な作品を書いてくれてもよかったのに、と思う。

 短編集所収のほかの作品の中では、「幻影師、アイゼンハイム」が特におもしろかった。

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