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参考文献録

「ソグド祆教美術の東伝における転化――ソグドから中国へ」 榮新江 西林孝浩・訳 (『美術研究』384 2004)
 ソグド美術(主にゾロアスター教美術)と中国美術(主に仏教美術)の融合について論じつつ、北斉で活躍したソグド人画家曹仲達は仏教画家として中国史料に記されているが実は彼が描いていた「仏像」はゾロアスター教の神像なのであった、という結論を出している。
 ソグド人の9割9分以上はゾロアスター教徒だったし、中国人はゾロアスター神像と仏像の区別がついていなかったのも確かなようだが、ごく少数とはいえソグド人仏教徒は存在したので、曹仲達が仏教徒ではなかったという結論にどうして達するのか理解不能。

 この論考自体を参考にしたわけではなく、ソグドとタリム盆地(および敦煌)のゾロアスター神像の図版がまとめて掲載されてるので、それなりに役に立ちました、と。

「ソグドの神々とイスラム・アラブの侵攻」 小谷仲男 (『西南アジア研究』46 1997)
 初期イスラムの征服活動について、最も詳しい史料はタバリー(923年没)の『預言者と諸王の歴史』、それに次ぐのはバラーズリー(892年没)の『諸国征服史』である。バラーズリーのほうは花田宇秋氏によって完訳がなされているが、刊行はされていない。『明治学院論叢総合科学研究』に22回に分けて掲載されており、結構な分量なのだが(一応目は通しましたよ)、タバリーのほうはその20倍もの長さだという。
 アラビア語を読めない小谷氏が、1985年から刊行の始まったタバリーの英訳を基に、「イスラム・アラブ人たちが中央アジアに侵攻した時、そこで出くわした人々の宗教、そしてアラブ人たちがそれらにどのような対処をしたか調べてみたい」とあるんだが、あんまりそういう内容じゃなかったなあ。7世紀から8世紀初めの征服活動について、一応、宗教関係の記事を中心に拾ってるんだけど、絞り込めてないっていうか。

 まあ英訳からとはいえ、『預言者と諸王の歴史』の記事をまとめて紹介してくれてるのはありがたい。

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