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参考文献録

『トンデモ偽史の世界』 原田実 楽工社 2008 (「その他科学」)
 なぜ「8世紀半ばの中央アジア」を舞台にしている次作の参考文献にこういう本を読んでいるのかは、刊行されたらのお楽しみ。

 それはともかく、と学会の本来のスタンスは、「作り手の意図を超えてトンデモないものになっている物件」を楽しく観察し楽しく紹介するはずなんだが、特に疑似科学・偽史の分野は提唱者や支持者の妬み逆恨み、差別意識が露骨だし、悲惨もしくは後味の悪い結果を伴っていることも少なくないんで、笑うどころか嫌な気分になってまうんだな。本書だと『シオンの議定書』がその代表。まあ笑えるネタもあったけど。

『偽書作家列伝』 種村季弘 学習研究社 1992/2001
 青土社から出た単行本の改訂版。
 一つ一つのエピソードはおもしろかった。「コウノトリになったカリフ」のヴィルヘルム・ハウフって、よくできたメルヘンの書き手というくらいの認識しかなかったんだが、実は反骨精神溢れる早熟の天才だったんだね、とか、『カルメン』のメリメって変な人だったんだね、とか。

 しかし①文学的遊戯としての偽作や架空論考と、②詐欺行為としての偽書造りの区別が不明瞭。もちろん境界線は曖昧だってことは解っているが、例えば①の文学史上の位置づけとか、②でも文学的なレベルでの出来の良し悪しとか、①と②の境界線上にある事例とか、その辺をもっと論じてほしかったんだが。単に個別の事例を羅列しただけ、味噌も糞も一緒という感じで終わってしまっている。

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