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参考文献録

『世界で最も危険な書物――グリモワールの歴史』 オーウェン・デイビーズ 宇佐和通・訳 柏書房 2010(2009) (「西洋神秘思想」「ラテンアメリカの宗教」「オリエンタリズム」)
Grimoires: a history of magic books
 著者はイギリス人。挙げられてる書名が全部原文ママで、その本を探したい人にはありがたいと言えそうだが、その実、英語以外の本のタイトル(ラテン語とかフランス語とか)の英訳まで原文(英語)ママで、それって意味あんの? 日本語訳も付いてない。ラテン語ほかラテン系諸語のタイトルは、まだなんとなく意味が解るけど、ドイツ語は全然知らんから全然解らん。超うざい。

 偽書の歴史について調べる関係で読んだ本。第5章「古代魔術の再生」で、オリエンタリズム(東洋学)の歴史に触れている記述は、ちょっとした拾い物だった。オリエンタリズム史の本はいろいろ読んだけど、中世ヨーロッパの「架空の国としての東洋への畏怖や憧憬」(アレクサンドロス大王とかプレスター・ジョンとか)からナポレオンのエジプト遠征までの数百年が空白だったからね。まあ、もはや今さら次作の参考にはならないんだけど。

 エクアドルのケチュア族は、名前を書かれると死ぬ「魔女の本」を所有するゴンザーロという聖人が信仰されていて(背中に剣を突き立てられ、顔から血を滴らせた姿で表されるという)、「魔女の本」の管理を職業とする者もいる。人々はこの本に敵の名前を書いて呪ってもらうため、あるいは書かれてしまった自分の名前を消してもらうために報酬を払う。「魔女の本」は呪文や紋章が書かれた本ではなく、罫線が引かれたノートだそうな。
 それなんてデスノート……(これはつまり、先住民にとって名簿というのは白人による支配の道具だった、ということなんだけど)

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