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ザ・ロード

 んー…………

 文明も環境も壊滅して、わずかに生き残った人々は飢えに苦しみ、カニバリズムが横行している、というありがちな設定にもかかわらず、ありがちな作り(アクションもの)になってないのは大変宜しいことだと思います。
 この作品に於けるアポカリプスが抽象的なものだということは、理解しています。だから具体的に何が起きたのか、敢えて空白のままにしておくのも良いことだと思います(世界は灰に覆われているが深刻な放射能汚染がある様子はなく、小規模だが地震がしばしば起きていることから、核戦争とかではなく天変地異系だということは示唆されている)。

 だけど、食糧生産が完全に停止し、野生の動植物もほとんど消滅してしまった世界で、人類が十年も生き延びられるとは、どうしても思えん。

 短期間で人口が激減したから生き残った人々は備蓄だけでしばらく食いつなげました、ということはあり得るにしても、数年が限界だろ。アポカリプスを空白にするのはよくても、その後人類がどうやって生き伸びたかを空白にするのは、どうしても目を瞑れない。
 目を瞑れない最大の理由は、登場人物たちの栄養状態があまりに良すぎるから、なのであった。

 もちろんリアルにすればいいというものではないから、もっと役者たちを痩せさせろ、とは言わん(子役に対してその要求は酷だし)。でも髪や皮膚や歯の状態が良すぎるんだよ。それはメイクで解決できる問題だ。まあヴィゴ・モーテンセンは隙っ歯だし、ガイ・ピアースもあんまり歯並びよくなかったけどね(後者も自前なのか?)。
 汚れ方も中途半端だ。ヴィゴ・モーテンセンなんて、アラゴルンやアラトリステの時のほうが汚れてたじゃん。

 もちろんリアルにすればいいというものではないが、あれじゃ大して過酷な状況に見えないのである。従来のSFアクションものならその辺いい加減でも許されかもしらんが(実は私は許したくないが)、そうじゃないものを作ろうとしてるんだからさあ……
 メインキャストの演技は悪くなかったと思うが、深刻そうな演技をしてるのに状況がそう見えない、という致命的な欠陥によって、どうにも乗れなかったのであった。
唯一それらしく「悲惨」だったのは、食糧として地下室に「貯蔵」されてる皆さんだけだったなー。

「悲惨な設定なのに大してそう見えない」のが制作者の杜撰さ(そこまで気が回らなかった)によるものなのか、意図したもの (悲惨さを抑えて「父と子の絆」を強調する、とか?) なのかは知らんが、いずれにせよ、少なくとも私にとってはこの欠陥のせいで、制作側が最も強調したかったであろう「親子の絆」が上滑りしてしまったのであった。

 どうでもいいがヴィゴ・モーテンセン、脱ぎ癖付いたんか。

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