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ALI

 公開時にはウィル・スミスの「なりきり振り」が話題になってたが、親の方針でほとんどTVを見せてもらえない子供時代を送った私は、73年生まれにもかかわらず、モハメド・アリの映像をまともに見たことがない……。

 そんな私でも当時から、彼がボクシングの世界チャンピオンであることと、「蝶のように舞い、蜂のように刺す」という枕詞は知っていたものです。
 しかしその後、モハメド・アリに関する知識で加わったのは、パーキンソン病とブラック・ムスリムのことくらい。そんな体たらくですから、今回この作品を観たのも、モハメド・アリへの関心からではなく、「別に嫌いというほどじゃないが、いつも同じような役ばかりやってるので興味が湧かない役者が例外的な役を演じてる作品を観てみようか」、という試みだったのでした。とりあえず50音順で、ということで。

 伝説的ボクサーを演じるウィル・スミスは、これまで彼が演じてきた役(全部観てるわけじゃないが)や、DVDの特典映像のインタビューよりも、遥かに内省的で思慮深そうであった。脚本や演出の力もあるんだろうが、やはり本人にそれだけ演技力があるということなのであろう。同じような役が多いのは、本人のせいよりもむしろ、黒人俳優の選択肢の少なさによるのかもしらんな。

 ジョン・ボイドが出てたのに、特殊メイク(だよな、あれは)で気づかず。この人も演技巧かったんだな、と再認識させられました。いや、若い頃はともかく、「アンジェリーナ・ジョリーの父親」になって以来、似たような役(悪役)でしか観たことがなかったんで。

 作品自体について言うと、序盤の試合の高揚感は素晴らしい。しかしモハメド・アリが良心的兵役拒否によって雌伏を余儀なくされてしまうという歴史的事実に沿って、映画も中盤はトーンダウンしっ放しになる。
 伝記映画によくある、幼少時から死までを時系列どおりに愚直に追う芸のなさに比べれば、巧くエピソードを切り取ってはいると思うけど、この中だるみはもうちょいなんとかならなかったかと思う。

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