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キャピタリズム

 マイケル・ムーアは『チーム・アメリカ ワールド・ポリス』で自爆(文字どおりに)してるところは見たことあるが、本人の作品は初鑑賞。

 糾弾されてるのは、2009年現在までのアメリカの資本主義。まあ言われるほど独善的じゃなかったというか、そもそも「以前よりは独善的じゃなくなってきた」という評価だから、これを観ようという気になったんだが。
 サブプライム問題に至るまでの流れを手際よくまとめているとは思うし、ニュースやCM、既存の映画作品(レーガンの出演作とか)などとムーア自身が撮った映像とのコラージュにして、さらにムーアのナレーションで突っ込みを入れてる手法はマッドムービーみたいでおもしろい。

 が、そうやって切り張りされた映像の断片は、本来の文脈から切り離されてるわけで、オバマの大統領選挙時の対立候補をはじめとする「資本主義礼賛者」たちが行ってきた情報操作を批判してるけど、自分だって同じことしてるやんけと思わずにいられない。
 特にムーア自身が撮った映像は、貧困に苦しむ人々や民主党議員たちへの取材は比較的長くて一貫性があるのに対して、「資本主義礼賛者」たちへの取材の試み(いずれも失敗)は短いショットばかりというのがどうもね。

 エンディング・クレジットで流れる「ジ・インターナショナル」のポップヴァージョン(?)が楽しかった。

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北国の帝王

 監督は、あの『何がジェーンに起こったか』(いや、未見なんだけど評判はかねがね……)のロバート・アルドリッチ。一応ネタばれ注意。

 大恐慌時代、失業者たちは職を求めてアメリカ全土をさ迷っていたが、彼らの中には列車の無賃乗車を移動手段とする者たちがいた。
 発見した無賃乗車犯は問答無用ででかい金槌で殴り殺す、悪魔のような車掌がアーネスト・ボーグナイン。ボーグナインを出し抜いて無賃乗車を成功させることを、手段ではなく目的としている失業者がリー・マーヴィン。マーヴィンとボーグナインの両方を出し抜いて「無賃乗車王」の座を奪取せんとする若造がキース・キャラダイン。

 考えてみれば阿呆な話で、たかだか無賃乗車で文字どおりのデスマッチである。失業者にとっては切実な移動手段で、鉄道会社員にとっては塵も積もれば会社の損失になるから阻止せねばならない、とかそういう話ではなく、無賃乗車という形式で男たちがガチでバトルを繰り広げる。
 無賃乗車ごときでそんな阿呆な、と思うが、要するに無賃乗車は「男同士の戦い」で賭けられるもののメタファーである。どっちにしろ、男ってアホだな、という話。
 そういう普遍的に阿呆な、ほとんど神話的ですらあるガチ勝負をガチで演じるアーネスト・ボーグナインとリー・マーヴィンは、もはやほとんど人間離れしている。現代ではもうこんな役者はいないよな。2人とも、台詞はごく少ない。後半、リー・マーヴィンがキース・キャラダインに長々と訓戒を垂れるが、ほとんど無意味なたわ言であり、台詞とは切り離された表情の身体の動きのほうが遥かに見ごたえがある。アーネスト・ボーグナインは顔だけで泣く子を黙らせられそうだ。

 キース・キャラダインは空威張りで身の程知らずの若造を好演。特に終盤では非常にイラッとさせられる存在になっており、結末では溜飲が下がる(アルドリッチ監督は、60年代70年代の若者文化が嫌いだったらしい)。

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