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サイモン・バーチ

 原作は未読なのだが、いかにもジョン・アーヴィングらしい作品だった。
「アーヴィングらしい」とは、どういうことなのかと言うと、
①世間一般的にはタブーと見做されかねない題材を敢えて持ってくる。
②ほかの作家ならそういう題材に対する下世話な興味を前面に押し出したゲテモノか、下世話な興味を糊塗して「泣ける」話に仕立てるところを、前者寄りのスタイルを踏まえつつ、結末では凡庸な作家には及びもつかない感動を生み出すというアクロバット(そこにあざとさがないとは言わんが)。

 小さな身体で生まれた少年サイモンと父親不明の少年ジョーの友情を描いた本作は、たぶん原作よりだいぶソフトでストレートな語り口になってるんだろうなあと推測されるが、それでも凡百の「泣ける」映画よりも遥かに捻りが利いており、また主役二人の演技が素晴らしく、風景の映像も美しい。笑わせられるところではしっかり笑わせられ(特にクリスマス劇の騒動)、結末では率直に言って感動した。

 ところで、サイモンを初めて見た余所者の少年たちが、やれホビットだマンチキンだと囃し立てるのだが、ホビットは「トールキンの小人」、マンチキンは「『オズの魔法使い』に出てた」という字幕になってた。『ロード・オヴ・ザ・リング』以後の現在だったら、ホビットはホビットで通じるだろうな。

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