ボス その男シヴァージ
2012年12月鑑賞。
『ロボット』よりおもしろかったが、その主な理由はやはり、ダンスシーンがカットされていないことだろう。「なぜそこで踊る?」というわけのわからなさなのに、強引に魅せてしまう力業こそがインド映画の魅力ですよ。
西原理恵子によれば、どんな料理もインド人が作るとカレーになるそうである。『ロボット』はハリウッド+香港をインドで料理したらこうなりました、という感じだった。インド人が作ってインド風味になってるけど、とりあえず一応、インド料理ではない、という感じ。
一方、『ボス』はハリウッドと香港の影響を多大に受けてはいるが、あくまでインド料理であった。『ロボット』が最初から海外進出を視野に入れてると思しいのに対し、こちらはインド人のためにだけ作られている「本場もの」であって、くせは強いが、私はそのほうが良い。太鼓腹に絵を描いた男性ダンサーたちの群舞とか、頭がクラクラした。
まあインド人のためだけ、といっても、インドは広くて多様だから、特定の地方だけではなく全インド人向けに作れば、それだけである程度の普遍性が生じ、だから外国人にも楽しめるのだろうけど。
ストーリーは……あってなきが如きだから説明は省略するが、ラジニ・カーント演じる主人公は、『ロボット』と違って普通の人間である。なのに『ロボット』の時と大して変わらんくらい強いのである。そして、なぜ強いのか、説明がまったくない。
説明がないのは『ムトゥ』も同じだが、当時(95年)はまだせいぜいカンフーを取り入れてる程度だったので大した問題はなかったが、2007年の本作では完全にワイヤーアクションと化しているので、もはや人間じゃないレベルです。なのに格闘技を学んだという設定すらない。たぶんインド人にとっては、「スーパースター・ラジニだから」ですべて説明がつくんだろうなあ。
今回もラジニは黒のロングコートを着用。これもハリウッド経由の香港映画からの影響だろうけど、還暦近い(当時)ラジニが熱中症で死んじゃわないか心配だ。
悪党の一人が日本刀っぽい武器を持ってましたが、微妙に幅広い刀身に鍔が溶接されているという代物でした。残念ながら日本文化はインドにあまり影響を与えていないようです(アニメは人気があるって聞くけどね)。
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