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SFマガジン読者賞

『SFマガジン』2012年8月号に掲載された「はじまりと終わりの世界樹」が、SFマガジン読者賞を受賞いたしました。本日発売の3月号の受賞コメントでも述べていますが、投票してくださった皆様に、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。

 毎年2月に刊行される『SFが読みたい』では、その年の「SFマガジン読者が選ぶベストSF」も発表されるのですが、HISTORIAシリーズの本はこれまで3作とも、アンケートによる「ベストSF」よりも高くランキングしていただいております。以前も書きましたが、SFMは子供の頃から憧れていた雑誌なので、その読者の方々に評価していただけるのは、本当に嬉しいことです。

 ところで、「はじまりと終わりの世界樹」は、デビューが決まった時点から構想していた、というようなことを以前書きましたが、実はルーツはもっと古くて高校時代からだったりするのでした。
 といっても、構想二十余年とか御大層なものじゃなくて、ネタを思いついて以来、そのまま放っておいただけなんですが。HISTORIAシリーズに組み込もうと決めてからも、ほぼ放置だったし。

「ハヤカワSFコンテストでデビューして、『SFマガジン』に作品が掲載される」という夢は中学時代以来のもので、だから当時からSFコンテストへの応募作品のネタを幾つも考えてたんですが、どれも書き出す端から空中分解する……高校時代には、もう書くことはほぼ諦め、ネタを思いついてもプロットどころかメモすら書かないという体たらくでした。
 そういう泡沫の如きネタの数々のほとんどは、とっくに忘れてしまいましたが、忘れずにいた数少ないのんの一つが「はじまりと終わりの世界樹」なわけです。

 あれは「SF冬の時代」が厳しさを増すばかりで、私自身、すでにSFから離れかけていた頃だから、高二か高三。本当に「思いついただけ」で構想を「練る」段階にすら達しなかったネタでした。舞台も決めていなくて、時代は漠然と遠未来を想定していただけです。
 だから「はじまりと終わりの世界樹」の背景となる設定は、当然ながら新たに考え出したものです。しかし中心となる「姉」と「弟」、そして彼らの「娘」の三者の関係は、当初のものとまったく変わっていません。
 当時すでに嗜好というか方向性ができあがってたんだなあ……近親同士の入り組んだ愛憎が基本という。あと、「女は凶悪、男はヘタレ」。凶悪女性キャラは、いわば「とっておき」ですが、男性キャラはどう書いてもヘタレになってまいます。ヘタレじゃなくしようと頑張ってもヘタレる。それは私自身が「ヘタレじゃない男はいない」という偏見の持ち主だからでしょう。でも高校時代にはまだそんな偏見は持ってなかったはずなんだけどな。
 
 それはともかく、89年か90年当時、SFはあまり読まなくなっていたにもかかわらず、相変わらず書きたいものはSFだけで、ハヤカワSFコンテストでデビューする夢も諦めていなかった頃に思いついたネタを、こうしてきちんとかたちにしたものがSFマガジン読者賞をいただけて、なんだかまるで夢(SFコンテスト入選)が叶ったかのようです。何度でも言います。ありがとうございました。
 いや、もしSFコンテストが当時の規定のまま存続または復活していたとしても、「はじまりと終わり」は規定枚数(40~100)を大幅に超えちゃってるから、応募できないんですけどね。

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