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アルゴ

 1979年、イランの米大使館占拠事件の際、大使館を脱出してカナダ大使の私邸に匿われた6人の外交官の救出作戦。
 同時期公開の『ボス その男シヴァージ』とどちらを観ようか迷った挙句、主役のベン・アフレックに興味がないという理由で『ボス』を選んだのだった。で、大方の映画館で上映が終わった頃、救出作戦の要となる「偽映画」の「原作」がロジャー・ゼラズニイの『光の王』だと知る。
 インド神話を題材にしたSFの舞台が、なんでイラン? それに『アルゴ』というタイトルの意味は? という疑問を解くべく、まだ上映している劇場を探したのであった。

 上映前に、いつもの習慣でパンフレットを買う。偽映画『アルゴ』のあらすじが述べられている。以下、引用すると「舞台は中東の風景にも似た、砂漠に覆われた星。3つの太陽に照らされたこの星は宇宙からやって来た独裁者に侵略され、人々は希望を失っていた。この絶望的な状況を打破すべく、ひとりの勇者が立ち上がる。この勇者こそ、星を救う宿命を担った“選ばれし者”。しかし、それを知った独裁者は彼の息子をバザールで拉致。怒った勇者は息子を取り戻すため、愛する妻とともに独裁者の城へと向かう。虐げられていた農民たちも続いて蜂起し、独裁者の軍と戦いを繰り広げる。激闘の末に独裁者は倒され、星に平和が戻った――」

 どうやったら『光の王』がこんな駄目な話に?
 パンフのライターがいい加減なことを書いたのだろうか? ちなみにパンフレットに記載された映画(もちろん本編)のあらすじがいい加減なのは、よくあることである。このパンフにはゼラズニイの『光の王』のあらすじも載っていたが、かなり微妙だ。
 というわけで上映が始まっても、頭の中は偽映画『アルゴ』のことでいっぱいである。しばらくして、いよいよ脚本が登場する……どうも、パンフに書かれたとおりのあらすじのようだ。絵コンテも登場する。こちらも実際に当時描かれたものと同じなのだろう……糞デザインである。どうせ大方のアメリカ人にはインドも中東も区別がつかないのだろうけど、絵コンテ描きが「もっと中東らしく」と注文をつけられて描き直す場面があるのだが、描き直しの前も後も全然変わらない。つまり、全然「中東らしく」ない。

 というわけで偽映画『アルゴ』が気に掛かり、『アルゴ』本編にはまったく集中できなかったのであった、というのはまあ誇張だが、終幕に至るまでずっと「なんでこんな糞脚本と糞デザインに、なんでこんな糞脚本と糞デザインに、なんでこんな糞脚本と糞デザインに、なんでこんな……」とぐるぐるし続けていたのは事実である。
 いや、駄作となることが初めから約束されていたSF映画『アルゴ』が実際に制作されなくてよかったね。SF史上に燦然と輝く汚点となったか、黒歴史として葬られたかのどちらかでしょう。

 それはさておき、本篇はおもしろかったですよ。ベン・アフレックは『グッド・ウィル・ハンティング』の頃から大して興味を持てなかったところに、『ハリウッドランド』では顔も身体もぬぼーっと間延びしてる上に目が死んでて、まあそれはそういう役だからと言えなくもなかったんだが、その次の『スモーキン・エース』でも変わらなかったため、完全に興味の対象から外れていた。しかし今回は、敢えて陳腐な表現を使わせてもらえば、オーラが違う。同じ役者とは思えないほどだ。髭と前髪のお蔭か、顔が長いのも目立たなかったしね。

 ちなみに『アルゴ』のタイトルの意味は、誰にもわからないとのことでした。

『ハリウッドランド』感想

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