« 終着駅 | トップページ | 塀の中のジュリアス・シーザー »

月に囚われた男

 こういう低予算だけどきちんと作られた、ちゃんとSFになってるSF映画を観るのは久し振りである。とはいえSFにおいては映画が他の媒体による作品(小説など)の先を行くことは滅多になくて、本作もややレトロ調である(予算の制約もあるのだろう)。しかし、ちゃんとしたSFなので、そのレトロな雰囲気はかえって味になっている。「月に囚われた男」という邦題も(原題は「MOON」)、なんとなく50年代SF調でよろしい。

 それほど遠くない未来、月の裏側で発見された鉱物によって世界中のエネルギー問題は解決した。その鉱物の採掘はたった一社によって独占されている。採掘は機械によって行われているが、それらの機械を管理するのは、たった一人の人間と一台のロボットである。任期は三年間。
 ありがちなSFホラーとして、わざわざ「人がおかしくなる環境」を設定してキャラクターを放り込む、というのがある。本作の状況設定も、「さあ、おかしくなれ」と言わんばかりなのだが、東電の度重なる不祥事を2年余りにわたって見せらてきた以上、「経費削減」が理由だと言われると、充分納得できてしまう。

 以下、一応ネタバレ注意。

「低予算だけどきちんと作られた、ちゃんとSFになってるSF映画」はバッドエンドか、そこまで行かなくても遣る瀬無い終わり方をするものが多いが、これは一応ハッピーエンドである。そこは評価できるが、しかし明らかにクローンたちは寿命を3年に設定されているのに、それについての言及がまったくないとか、オリジナルはどうなったんだ、といった少々の粗が、全体としての出来はいいだけに目につく。
 

|

« 終着駅 | トップページ | 塀の中のジュリアス・シーザー »

鑑賞記2013」カテゴリの記事