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『「世界内戦」とわずかな希望』

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 岡和田晃氏の批評集で初の単著『「世界内戦」とわずかな希望――伊藤計劃・SF・現代文学』が先日発売されました。本文300頁以上、短いのから長いのまで、すんごいたくさん(数えかけたけど、やめた)の批評が収録されています。

 テーマ別に、次のような構成になっています。

 第一部 「伊藤計劃以後」の現代SF――伊藤計劃、仁木稔、樺山三英、八杉将司、宮内悠介
 第二部 スペキュレイティヴ・フィクションの可能性
 第三部 世界文学のニューウェーブ

 冒頭から順番にではなく、あっちを齧り、こっちを齧りという読み方で七割方読んだところで、冒頭に戻って今度は順番に、まだ読んでなかったものも既に読んだものも通して読み、現在は第三部に入ったところです。
 なので、まだ幾つか未読のものもあるのですが、とにかくこういう読み方をして解るのは、論旨の一貫性です。たいへん多くの、多岐にわたる作品を論じていながら、その一貫性は驚くほどです。
 それは岡和田氏の思想(「思想」という言葉はいろいろ語弊があるんで、主張とか考え方とか言い換えてもいいですが)が一貫しているからで、かと言って、他者の作品を自分の思想やら主張やらのダシにしているとか、自分の考えに都合のいいところだけ取り出したりこじつけたりしているんではもちろんない。世界(「セカイ」ではなく)の捉え方が一貫しており、あらゆる作家の作品も、その世界の一部として把握されているから、なのだと思います。

 だから、彼の批評の価値は雑誌等に掲載されるものを個々に読むよりも、こうして一冊にまとめられたものを読んでこそ見えてくるのではないかと思います。
 そういうわけで、第一部では私の作品も幾つか取り上げてもらってますが、それらも全体の一部を成してるわけなのですよ。

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