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摩天楼を夢みて

 1992年の作品。舞台はとある不動産会社の営業所。まだ若い所長の下に四人のセールスマンがいるが、一人を除いて成績は振るわない。ある夜、本社から敏腕社員が派遣されてきて、成績が三位以下になった者は馘首だと宣言する。
 金時計を見せびらかすこの本社社員がアレックス・ボールドウィン。嫌味な営業所長がケヴィン・スペイシー。唯一、好成績のセールスマンがアル・パチーノ。業績不振のため恐慌を来す残り三人がジャック・レモン、エド・ハリス、アラン・アーキン。
 
 凄まじく豪華なキャストなのだが、何しろ前半は業績不振の三人が折れそうな心を抱えて右往左往しているだけなので、とにかく辛気臭い。しかも夜だし、雨が降っている。暗い画面(心理的にではなく光学的に)が苦手なので、それだけでも気が滅入る上に、その昔、ブラック企業で訪問販売の仕事をさせられたことが否応なしに思い出されて、気分は沈んでいく一方である。
 いや、思い返すに、あれは紛う方なきブラック企業だった。人が壊れていくのを目の当たりにしてしまいましたよ。私自身は、壊れる前に馘首になったのが不幸中の幸い。糞会社め。
 
 閑話休題。
 何はともあれ、この陰々滅々たるパートを耐え抜いて一夜明けると、雨も上がり、営業所に物取りが入ったことが明らかになり、事態は急展開する。
 誰が犯人なのか、というサスペンスに加えて、絶好調のはずのアル・パチーノの許には契約解消を望む客が押しかけてくる。この客がジョナサン・プライスで、アル・パチーノが「何が問題なんだ? きみはどんな問題を抱えているんだ? 俺に打ち明けてみないか?」とカウンセリングに持ち込んでいくのが、やたらとおかしい。
 
 90年代初めの映画はあまり観ていないので、この時代のこの役者たちを観るのはほとんど初めてである。なかなか新鮮。身勝手で小狡いエド・ハリスなんて初めて観た。アル・パチーノは、この頃がピークだったんだな。90年代半ばには、もう演技が単調になってもうてるもんな。ケヴィン・スペイシーだけは全然変わらないけど。
 

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