ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
長くて込み入った原作を巧く刈り込んで、良くも悪くも解りやすく整理してある。
「良い解りやすさ」は主人公の少年オスカーの、「普通でない」感情表現にもかかわらず彼の悲しみの大きさを表現する手法など。
これには子役の演技力に非常に多くを負ってるんだが(クイズ番組で優勝したのを映画スタッフにスカウトされた、演技はまったくの素人だそうだ)、やはり脚本や演出も巧みだと思う。両親役のトム・ハンクスとサンドラ・ブロックスも巧い。
でも全体としては刈り込みすぎだし、特にラストは解りやすく「いい話」にしすぎ。
それに原作は9.11がドレスデン空襲やヒロシマと並列に語られ、人類共通の苦しみであることが示されているが、映画ではヒロシマのエピソードがカットされてるのはまあ仕方ないとして(原作でも比重は少ないから)、祖父母の人生に、つまり一族の歴史に深く刻み込まれたドレスデン爆撃にも、ほんのちょっぴり触れているだけだ。あたかも、9.11は人類の歴史において、比類ない唯一無二の、「選ばれた」受難であるかのごとく。まあ監督はイギリス人なんだが。
最後にもう一つ、映画じゃタイトルの意味がわからないやんけ。
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