ザ・ヤクザ
勘違いジャパニズム100%の低予算映画、といった趣のタイトル(原題もTHE YAKUZA)だが、1974年のシドニー・ポラック監督作。主演はロバート・ミッチャム、高倉健、岸恵子。
「銃刀法はどうした」というツッコミどころはあるものの、日本文化の考証は驚くほどきちんとしており、『ブラックレイン』なんかよりよっぽどまともな「ヤクザ映画」であった。ヤクザが美化されすぎているが、まあ任侠映画でもこのくらいはやるだろう。切った張ったが多い割に流血が妙に少ないのは、当時のコードのせいか。
興味深かったのは、ロバート・ミッチャム演じる主人公は進駐軍だったという設定で、彼にとって日本は、日本人と共有する過去の体験であり、決して異質なものではない、という点である。このことを踏まえて撮っているため、作中の日本が他の類似作品のような珍妙なものにならずに済んでいるのだろう(程度の問題だが)。
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