« 文庫復刊アンケートとか | トップページ | 生体甲冑 Ⅲ »

メタルヘッド

 ネタバレ注意。
 
 ネタバレも何も、欧米の映画(あるいは小説等、他のメディアでも)によくある、「行き詰まった状況にある人々のところへ奇妙な人物が突然現れ、状況をかき回すが最終的に行き詰まりを打開する。その謎の人物とは実はキリストのメタファーである」というパターンそのまんまである。
 で、そのまんまじゃ芸がないと思ったのか、「現代的解釈」を施して(どのくらい「現代的」なのかは後述)、「奇妙な来訪者」を下卑たチンピラに仕立てている。その挙句に、それじゃあやっぱり観客には解ってもらえないかもと不安に駆られたのか、チンピラの風貌を「痩せて長髪で髭」にした上に、駄目押しにエンドクレジットに付した卑猥な落書きというか、卑猥な落書きに見せかけた「オサレ」なイラストの中に、「最後の晩餐」の構図とか、聖痕のある両手とかを紛れ込ませている。
 そんなことしたって、下卑たチンピラは下卑たチンピラでしかなかったけどね。

 いや、主人公の少年や、その祖母役のパイパー・ローリーは巧いし、ナタリー・ポートマンも生活に疲れたレジ打ちを好演している。本当に『ブラックスワン』以来、自然体の演技ができるようになったなあ。「ブス作り」の瓶底眼鏡は工夫がなさすぎで、もう少し頭使えよとか思うが、彼女のせいじゃないし。

 しかしなんつーか、駄作ではないが、凡作。一生懸命奇を衒おうとしているが、その奇の衒い方自体が凡庸。主人公の不幸とその描写が、いかにも「頭で考えました」という感じなんだな。
 しかもセンスが全体的に妙に古い。90年代後半くらいの「スタイリッシュ」という感じだ。ヴィンセント・ギャロとかがやってたみたいな。やれやれ。

|

« 文庫復刊アンケートとか | トップページ | 生体甲冑 Ⅲ »

鑑賞記2014」カテゴリの記事