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ムーンライズ・キングダム

 ウェス・アンダーソンは、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』は細部の作り込みが快感を生み出していたが、次の『ライフ・アクアティック』は「細部の作り込みだけ」の人工的でちまちました印象に失望させられて(まあ役者はいい仕事をしていたが)、それきりである。

 そういうわけで、この監督の作品はちょっと久しぶり。1960年代、小さな島に住む少女が、島にキャンプに来ていたボーイスカウトの少年と駆け落ちをする。少女の両親がビル・マーレイとフランシス・マクドーマンド、ボーイスカウトの団長がエドワード・ノートン、島の保安官がブルース・ウィリス。
 気弱なエドワード・ノートンとか、しょぼくれたブルース・ウィリスとか、役者はみんなはまり役。大人たちを振り回す幼いカップルは、どちらも変わり者ゆえの孤独を表現して巧い。

 とはいえ、作り込みが行き過ぎてるのは相変わらずだし、60年代という時代に寄り掛かりすぎている。現代が舞台では成り立たない話だから60年代にしてみました、という意図があからさますぎなんだよ。

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