ライフ・オブ・パイ
動物園を経営する父と大学出の母を持つインドの少年パイは、幼い頃から信心深く、ヒンドゥー教に加えてキリスト教とイスラムも信じるようになる。やがて動物園の経営が思わしくなくなり、一家は動物たちとともにカナダへ移住することになる。
船は太平洋上で嵐に遭い、救命ボートに乗ることができたパイとシマウマ、オランウータン、ハイエナ、そして虎を除き、家族も他の動物も乗員も皆、船とともに海に沈んでしまう。
翌日、嵐が止むと、まず足を骨折したシマウマをハイエナが殺し、続いて雌のオランウータンとハイエナが格闘になり、オランウータンが殺される。怒りに駆られたパイがナイフでハイエナを刺し殺そうとした瞬間、それまでシートの下に隠れていた虎が飛び出してきてハイエナを殺す。
斯くしてボートには少年と虎が取り残され、メキシコまで漂流を続けることになる。
以下、ネタバレ注意。
この「奇想天外な話」が、もう一つの「奇想天外でない話」のメタファーと解釈すれば、非常にわかりやすい。パイの「暴力性」のメタファーである虎が、それまで隠れていた場所から飛び出してきたのは、パイがまさにハイエナを殺そうとした瞬間だし。
とはいえ、こちらの「奇想天外でない話」はあまりに殺伐としているし、「奇想天外な話」が何もかも「現実」のメタファーだとしたら、例えば人食いの浮島は何を暗示しているのか不明である。
要は、無理に理屈にこじつけず、「奇想天外な話」を楽しむべきだということである。
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