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レボリューショナリー・ロード

 公開時、『タイタニック』のカップルが10年の時を経て倦怠期の夫婦を、というのと、監督はケイト・ウィンストレットの旦那、という二つで話題になってた作品である。楽屋落ちもサム・メンデスの悪趣味も嫌いじゃないが、その二つが重なると、くどすぎて気疲れしそう、というわけで今まで避けていたのであった。

 実際観てみると、いや、予想以上に悪趣味。でも楽しかった。それにしても、この企画を最初に進めたのはケイト・ウィンストレットで、渋るサム・メンデスとディカプリオを数年がかりで説得したそうだが、悪趣味監督の嫁は旦那を超える悪趣味な上にサドか。そして結局はノリノリで撮ってる旦那はマゾか。

 郊外の一戸建てに住む結婚7年目の夫婦。子供は二人。夫は長時間の通勤とやり甲斐のない仕事にだいぶ鬱屈しているものの、どうにか日々を過ごしている。一方、妻は孤独と虚しさに追い詰められており、そこから抜け出すために、「パリへの移住」を提案する。夫も偶々その日、ついなんとなく秘書と寝てしまったので、その後ろめたさも手伝ってか承諾してしまう。
 あまりにも無計画で、失敗するのが目に見えている「計画」である。アメリカが約束し続けてきた「素晴らしい人生」「素晴らしい未来」。『アメリカン・ビューティー』でも本作でも、そんなものは幻だと認めようとしないのは妻のほうである。
 タイトルの「レボリューショナリー・ロード」は、夫婦の家がある街路の名前だ。逼塞した日常に「革命」を起こしたくて、だから行先はパリなんだろうけど、結局革命は起きない、レボリューショナリー・ロードから脱出できない、という話だ(最終的に「脱出」はできるが、彼らが望んだかたちではない)。  

 イギリス人であるサム・メンデス監督が再び「アメリカの崩壊」を描いた、と言えるわけだが、『アメリカン・ビューティー』が悪趣味の上に悪趣味を重ねた挙句、最後は一つの「美」へと昇華されているのに対し、本作がそうなってないのは、やっぱりその悪趣味が観客の下世話な興味を煽る方向に行ってるからなんだろう。『タイタニック』で主人公カップルの「味方」だったキャシー・ベイツにああいう役をあてがうとか、本当に悪意に満ちている。
 ケイト・ウィンスレットはともかく、ディカプリオの役は『タイタニック』のジャックのなれの果てのようでもあるし。画家志望とかいって、あの画力じゃあな(あのデッサンを実際に描いたのはキャメロン監督本人だそうだが)。
 
 とはいえ、映像は美しいし演出はきめ細かいし、役者たちの演技合戦は素晴らしい。ディカプリオは「大人になれない男」しか演じられないわけだが、これだけバリエーションが豊富なら、もはや強みと言えるかもしれん。

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