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イミテーション・ゲーム

 そうか、アラン・チューリングって世間一般的には全然有名じゃないのか……

 チューリングの生涯が、エニグマ暗号解読を中心に手際よくまとめられている。ベネディクト・カンバーバッチはチューリング本人とは全然似てないんだが、その異相(なんか地球外生物っぽい)はチューリングの異才を文字どおり体現している。

 しかし、暗号解読者の上にコンピュータの父というプロフィールから予想される専門用語や論理の解説は、ほぼ皆無であった。確かに解りやすくはあるが、チューリングの暗号解読機がどういう仕組みで暗号を解読するのかという説明すら一切ない。なんか知らんが、でかくてごちゃごちゃした機械ががしゃこんがしゃこん動くと答えが出てくるという。
 ブラックボックス過ぎるというか、昔のB級SF映画に登場する謎の巨大機械みたいだなあ、とか思いながら観ていると、最後の最後にテロップで、チューリングの計算機がコンピュータの原型となった、と説明が出てくる。

 えー? じゃあ、チューリングがコンピュータの発明者だって知らない人にとっては、映画の間中ずっと、あの機械はブラックボックスそのもの、謎の巨大機械そのものだったわけか? 
 うーん、あの解読機械が「コンピュータの原型」だという前提を抜きにすると、チューリングは「数学ができるだけの狂人」にしか見えないのではなかろうか。解読に成功して、実はすごい機械だとわかった後も、暗号解読のほかに使い道のない、平時には無用の長物に見えるんじゃなかろうか……いや、実際に同時代の9割9分の人にとってはそうだったに違いないから、それでいいのか……?
 
 チューリングの同僚で、一度は婚約もする女性数学者がキーラ・ナイトレイ。最近、『ラブ・アクチュアリー』を見たばかりだったので、顎を突き出す癖がこの10年でだいぶ直ってるのがわかる。
 チューリングの上司の中佐役チャールズ・ダンスは『ドラキュラZERO』のマスター・ヴァンパイアの人か。特殊メイクをしてないバージョンではダンディな御老人という感じだったが、今回はチューリングの才能を理解しない頑固一徹オヤジ。
 

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