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アクロス・ザ・ユニバース

 ジュリー・テイモア監督作でこれ以前に観たのは『タイタス』と『フリーダ』。ミュージカルはこれが初めてだが、これが一番よい。

『タイタス』は素晴らしい開幕で期待させておいて、いざ物語が始まるとひたすらうんざりさせられ、『フリーダ』はところどころよかったものの、全体としては伝記映画にありがちな散漫な印象。
 両者に共通なのは「奇を衒ってる」感で、この監督が演出した舞台は観たことないが、その援用という感じで、映画という表現様式の中で部分的にはプラスに働いているが、全体としてはチグハグというかギクシャクというか。
 舞台の様式美を芸もなくそのまま映画に持ち込んでいるというわけでもないんだが、どっちみちしっくり来てないという。

 今回、上記のような違和感がなかったのは、ミュージカルだったからだろう。舞台上のミュージカルの様式美は、映画のミュージカルにも馴染みやすいからな。加えて前の2作よりも遥かに脚本の完成度が高い。
 まあ、1960年代の田舎(リヴァプール)から都会(ニューヨーク)に出てきた若者が、ラブ&ピースに翻弄され、やがて幻滅し、という紋切り型ではあるんだが、これも一つの様式美だとも言え、その様式美の中でビートルズの名曲の数々がたいへん効果的に使われている。
 ミュージカル好きだから余計にそう思うんだろうけど、もともとミュージカルの人なんだから、前の2作ももっとミュージカル要素を入れればよかったのに。
 
 あまり評価していなかった俳優や監督の新たな一面を見つけると、それだけで評価が上がってしまうのだが、その分を差し引いても良作。

『フリーダ』感想

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