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ヴィンセントが教えてくれたこと

 一応、本作および『グラン・トリノ』にネタバレ(?)注意。

 前評は「『グラン・トリノ』のダメ親父版」で、確かに冒頭からビル・マーレイのダメ親父ぶりが、これでもかとばかりに描かれる。
 しかし隣家に越してきた10歳の少年の面倒を見るようになってからは、確かに時給11ドルのシッター代目当てだし、競馬場やバーに連れ歩くが、それ以上のことはしないので、ダメと言ってもお子様も鑑賞できるレベル(売春婦との関係も、どうにか誤魔化し切るしな)。
 少年のお蔭で競馬で万馬券を当てた時も、一部をお祝い(それも大したものじゃない)に使っただけで残額はすべて少年の名義で開設した口座に預金する。
 
 

 これじゃただのいい人じゃん、まあやりすぎて「ダメ」を通り越して「クズ」になってしまうよりはマシかなあ、とか思いつつ観ていたが、後半、アルツハイマーの妻のために金が必要になると、少年に断りを入れることなく、その金を全額下ろしてしまう。そこまでならまだいいが、その金を競馬で全額すってしまう。
 ああ、うん。このくらいやらなきゃ、「ダメ親父」とは呼べんわな。と、ちょっと感心する。
 そこからはダメ親父にも少年にも不幸が次々と押し寄せ、「このままでは『グラン・トリノ』みたいに主人公の死で終わるのでは……」という不安すら抱かせる。  

 結論を言うと、その結末にならなかったのはいいんだが、金銭の問題はそのまま有耶無耶にされてしまうので、「ハートウォーミング」な結末が、取ってつけたようにしか見えなかったのであった。おもしろい要素はたくさんあったが、作品全体の評価はどうかと問われると微妙。
 ハッピーエンドって、バッドエンドより難しいんだよねー。  

『グラン・トリノ』感想

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